作品の紹介-2

毎日毎日、暑~い日が続いています。

ぬる~い風を送ってくれる扇風機と、お風呂に垂らす「ハッカ油 」、それと、寝るときのアイスノンで、今年もなんとかこの夏をやり過ごそうとしている私たちです。

例年だと、お盆を過ぎると、朝晩は多少は涼しくなるのですが、さて、今年は・・・?

 

前回から少々間が開いてしまいましたが、新作の紹介「第2弾」をお届けします。

今回は、今年4月のサンコアさんで展示したお仏壇です。

これまでの定番の作品のひとつに、幅30cmほどの『 厨子 』があります。

この『 厨子 』は、お仏壇としては、小さなお位牌や、故人の思い出の品などを納めてお祀りすることを想定し、リビングなど、置き場所を選ばないよう、あえて小さめにしています。

ただ、お位牌の他に、ご本尊や、他の仏具も納めるにはやや小さいので、今回、より一般的なお祀りができるような、もう少し大きいサイズのものを製作しました。

新作のお仏壇-1
新作のお仏壇-1

寸法(外寸)は、幅700×奥行415×高765mmです。

材料は、栓(せん)。拭漆仕上げです。

全体的にチラチラしている模様は、「 縮み杢 」という、年輪 とはまた異なる木の模様で、漆を塗ることで美しく際立っています。

すべての栓の木にこのような紋様が現れるわけではなく、今回、特にこのような模様を持つ材料を選んで製作しました。

新作のお仏壇-2
新作のお仏壇-2

扉を開くと、中には 取り外し可能な ” 須弥壇 ” と、 ” 引き出し ” 、 ” 膳引き ” があります。

正面に見える ” 向こう板 ” には「 玉杢 」のきれいな材(こちらも ” 栓 ” です)を使用しています。

天板は、稜線のある緩やかな曲面としました。

新作のお仏壇-3
新作のお仏壇-3

扉の外側は平面ですが、内側は曲面に仕上げてあります。

お仏壇は通常、扉を開いたままにしておくので、柔らかな雰囲気が出るよう、内側は曲面を多く用いたデザインとしています。

扉を閉じると、逆に直線的なデザインが前に出るので、リビングなどに置いていただいても違和感は無いと思います。

最近では、昔ながらの仏間を用意することは難しい場合が多いと思います。

家具工房として、現代の生活に溶け込むような祈りの空間をつくるお手伝いもできれば、と考えています。

(Ku)

 

 

”擬宝珠”付きの厨子

今回は、今年1月にお納めした「厨子」の紹介です。

昨年の夏に、ホームページで「厨子」の写真(ホームページの写真にリンク)をご覧になった方から、詳細についてのお問い合わせをいただきました。

内寸や、より細かい部分が分かる資料をお送りしてご検討いただいた結果、中に納める予定のご本尊の寸法に合わせ、ホームページのものよりも少し大きくして製作させて頂くことになりました。

寸法のほかに、
①材料は 『ケヤキ』を用い、木目は”柾目” のようなシンプルなものではなく、複雑で特徴的な部分を使用する
②”オイル仕上” とする
③屋根に ”擬宝珠” を付ける
といったご希望をうかがいました。

材料の木目を写真で確認して頂いたり、”擬宝珠” のデザインをご相談したりと、メールやお手紙での打合せを重ね、今年の初めに無事お納めすることができました。

擬宝珠付きの厨子
擬宝珠付きの厨子

扉は一枚の板から曲面に削り出すことで、木目の複雑さがより際立ちました。

”オイル仕上” ということで、ケヤキ独特の、明るいオレンジがかった美しい厨子に仕上がりました。

これから時が経つと共に、漆にも負けない深い色つやに変化し、さらに美しくなっていくと思います。

”擬宝珠” は初めての製作でしたが、擬宝珠を付けたことで全体がぐっと引き締まったような気がします。

扉を開いた状態
扉を開いた状態

ご本尊を安置する ”ひな壇” もあわせてお作りしました。

お客様には、最初にご相談を頂いてから納品まで、たいへんお待たせすることになりましたが、その分時間をしっかりとかけて納得のいく製作ができたと思っています。

現代の生活スタイルに合った、お厨子やお仏壇の製作もいたしております。

リビングルームに置いても違和感のない小さめのお仏壇など、どうぞお気軽にご相談ください。(Ku)

オリンピック、感動をありがとう!!

ロンドンオリンピックが終わりました。新聞・テレビでの特集も少しずつ減り、一時期の興奮もおさまってきました(でも、もうすぐパラリンピックが始まりますね)。

夏,冬問わずオリンピックに熱中する我が家ですが、残念ながら今回は時差のため、リアルタイムで観戦することはほとんど出来ませんでした。でも、結果だけでなく、どうしても試合自体をしっかり見たい競技がいくつかありました(サッカー、水泳、体操など)。

そんなときは、夜中の中継を録画しておいて、翌日の夕食時に観るという方法をとります。もちろん、観る前に結果を知ってしまっては面白くありませんから、録画を観るまではテレビやラジオのニュースはシャットアウト。工房で普段流しっぱなしにしているラジオもそんな日は音楽CDにチェンジです。

家に帰ってテレビをつけた瞬間にニュース番組が流れないか、とか、パソコンを立ち上げたときにニューストピックが出ないように、など結構気を遣います。

ところが、意外な落とし穴が…。

仕事から帰ってから観ようと夜中の試合を録画し、「今日はニュースに気を付けようね」などとお互いに注意しながら仕事に出掛けようと家を出た瞬間、お隣のおばさんの声が…。

「サッカー、よかったなぁ」

そう、それは”なでしこジャパン”が、準決勝でフランスに勝った朝のことでした。

お隣のおばさんは”寝不足で…”などと言いながらも夜中の試合もしっかり観ているそうで、私達の顔を見ると、親切心から最新の結果を教えて下さるのです。

「男子、負けちゃったなぁ」 これは、男子サッカーが準決勝でメキシコに負けた朝。

ただ、単純なもので、結果を知っていても、録画を見始めると手に汗握りながら熱中するのではありますが…。

オリンピックではいつも、言葉では表せないような特別なプレッシャーの中できちんと結果を出していく選手たちに驚嘆するばかりです。才能のある人たちがそれに溺れることなく、ひたむきに努力し、がんばり、汗と涙を流す姿からは感動と勇気をもらい、”おまえももっとがんばれよ!”と鼓舞されるのです。

お仏壇(拭き漆仕上)
お仏壇(拭き漆仕上)

さて、先日、ご注文をいただいていたお仏壇を納品してきました。

材料は”きはだ”で拭き漆仕上げ、引き手は真鍮製です。

5月の”ひめじクラフト・アートフェア”で小さめの『厨子』を展示したのですが、たまたまお仏壇をお探しのお客様がご覧になり、シンプルですっきりしたデザインをたいへん気に入って下さいました。

後日ご連絡を下さり、具体的にお話しをすすめさせて頂けることになりました。

お客様のご希望で、基本的なデザインは変えず、中に納めるお位牌の数やサイズ、置く場所の様子などから、展示していた厨子よりも1周り大きくし、中にひな壇をおつくりしました。

お仏壇(扉を開いた状態)
お仏壇(扉を開いた状態)

予定されていた、和室に造りつけの飾り棚に設置させていただきましたが、照明の具合も良く、お部屋そのものの落ち着いた雰囲気にうまく溶け込み、ほっとしました。

お客様からも「味わいがあり、落ち着いた感じ」と、とても喜んでいただけました。9月にご実家に置いてあるお位牌を持ってこられるとのこと。落ち着いたお祀りの空間づくりのお手伝いができたことをたいへん嬉しく思っています。(Ku)