材料について

材木
しっかりと乾燥した広葉樹の無垢材を常にストックし、その中から作品に適したものを選んで使用しています。
杉やヒノキなどの針葉樹は、強度の面から不具合が生じやすく、私達は家具の構造材には不向きと考えています。

テーブルの天板など、幅の広い材料が必要な場合は、1枚板か、接ぎ合わせかを選んで頂くことができます。
接ぎ合わせをする場合は、木目に違和感が生じないように材木を慎重に選んで組み合わせます。

木目や木の種類など、特に材料にこだわりたい場合は、材木店で直接材木を選んで頂くこともできます。
また、お手持ちの材木をお持ち込み頂くことも可能です(ただし、無垢の広葉樹材に限らせていただきます)。
当工房でストックしている主な樹種は次のようなものですが、これ以外のものをご指定いただくことも可能です。
なら(楢)、くり(栗)、たも(柫)、せん(栓)、けやき(欅)、とち(栃)、ウォールナット
材木のストック

材木のストック

材木のストック

テーブルの天板等に使える幅広の板のストックもあります

金具
ネジや釘などの金具類は、腐食したり、木の伸縮を妨げてしまう等の傷みの原因になりやすいので、できる限り使用を避けています。
蝶番、取っ手など、使用を避けられない金具につきましては、通常、既製品を使用しますが、質感や風合いが作品に合うもの、壊れにくいものを厳選しています。場合によっては、真鍮の板などから手作りすることもあります。

塗装について

塗装につきましては、「拭漆(ふきうるし)仕上」か「オイル仕上」のどちらかをお選びいただきます。
いずれも、食器への使用も許可されている安全な塗料ですので、小さなお子さまにも安心してご使用いただけます。
「オイル仕上」は通常、無色透明のオイルを使用しますが、特にご希望がある場合には、着色剤入りのオイルでの塗装も可能です。
「ラッカー」や「ウレタン」等の石油化学系塗料を用いた塗装は行っておりません。

仕上がりの美しさや、塗膜の丈夫さなどから、おすすめしたいのは「拭漆仕上」ですが、長所・短所を併せ持ちます。
「オイル仕上」とともに、二つの塗装方法の特徴を下表にまとめましたのでご検討の参考にしてください。

  拭漆仕上 オイル仕上
塗装
方法
漆は日本古来の自然塗料です。
漆の木の樹液である"生漆(きうるし)"を、「木地にすり込み、拭き取り、乾燥させる」という工程を数回繰り返すことで木理を美しく表現する塗装方法です。
漆は、適度な湿度と温度を加えることにより、その酵素が作用して硬化します。
環境性の高い『オイル(エコ塗料)』を木地に塗り込んだ後、表面に残ったオイルを拭き取って仕上げます。
蜜ロウワックスなどを併用することで艶を加えることが出来ます。
長所
  • ウレタン塗装などの石油化学系塗料に劣らない強い塗膜を形成します。
  • 艶のある漆特有の"深み"は木目の美しさを引き立たせ、時の流れとともにその味わいが深まります。
  • 漆塗りの色つやはたいへん美しいものです。
  • お客様ご自身でワックスがけをして頂けるなど、お手入れが簡単です。
  • 木の濡れ色に仕上がりますので、樹種による色の違いが楽しめます。
  • お使い頂いている間に手の油分などで自然に艶が深まっていきます。"時間"と"ご使用"に勝るメンテナンスはありません。
  • 塗装の手間が少ないので、価格を抑えることができます。
短所
  • 『オイル仕上』と比較して、より丁寧な木地仕上げが必要であることに加え、塗装の作業工程が多く、手間ひまがかかります。また、漆自体がオイルよりも高価です。このため、『オイル仕上』よりも価格が3割程度高くなります。
  • 紫外線に弱く、直射日光が当たり続けると色あせが生じます。ただ、これは他の塗料も同様です。
  • 表面が鏡面状に仕上がりますので、オイル仕上よりもキズが目立ちやすいです。ただ、生活の中で付いたキズを、"欠陥"ととらえるか、"あじわい"ととらえるかは、ご使用になられる方次第です。
  • 漆独特の濃い茶色に仕上がりますので樹種による色の違いがほとんど出ません(樹種や塗り方によって若干の色の違いはあります)。
  • 塗膜が弱く、水に濡れると染みになるなど、汚れが付きやすいです。ただ、生活の中で使うことによって付いた汚れやキズは、"欠陥"ではなく、"あじわい"ととらえることもできます。


漆の塗膜は、木材の呼吸を妨げません。
また、強い塗膜にもかかわらず、木の伸縮とともに伸び縮みするので、ウレタン塗装のような"干割れ"を生じることがありません。
四季によって湿度が大きく変化する日本の気候にたいへんよく合った塗装方法といえます。
『オイル(エコ塗料)』は、化学系塗料と比較して、すべての生物や生態系に負荷をあたえにくい塗料です。