【岡山移住顛末】-その2-「さあ、物件を探そう!」

昨年6月に始動した私たちの岡山移住計画。

「広~い岡山、どこに住むか」を決めるためには、現状の問題点や将来の希望を考え、「どのようなことが必要なのか」をきちんと整理することが大切だということに気がつきました。

まず、仕事に関して。

・仕事で発生する音などが周囲に迷惑にならないこと
機械を使って木材を加工しますので、それなりの騒音や若干のホコリが発生します。薪ストーブも使いたいので、ちょっと煙も出るかもしれません。これらがご近所のご迷惑にならないようにしなければなりません。したがいまして、市街地などの住宅密集地は避ける必要があります。

・地理的な位置
展示会の開催や、お客様への配達、材料や消耗品の調達などを考えれば、幹線道路やインターチェンジなどへのアクセスが良いにこしたことはありません。

・職住一体にする
現在は住居と工房が離れており、毎日車で15分ほどかけて通勤している状態です。事務的な仕事は自宅で、製作は工房で、と分けて作業するのはたいへん効率が悪く、これまでの悩みどころでした。職住一体にすれば、通勤時間がなくなるだけでなく、生活と仕事がうまく融合して両方の効率がかなり良くなりそうです(お弁当の支度もいらなくなりますし … )。

そして、日々の生活に関して。

・一生住み続けられること
買い物や病院など、日々の生活に最低限必要な用事にはあまりストレスを感じたくはありません。また、公共交通機関が利用できる場所であれば、年を重ね、将来車を運転できなくなった場合にも、体が動く限りはなんとか生活できると思います。

・自然災害に対して強いこと
土砂災害、河川の氾濫などの自然災害に対する安全性にも配慮する必要があります。
(これについては、地形図やハザードマップを活用しました。)

こうやって文字にしてみると、かなり贅沢で、無理のある条件のようにも見えますが、さいわい(?) 2人とも、神戸などの街中に出掛けると1日でヘトヘトになってしまうような田舎育ちなので、私たちにとっての ” 便利さ ” にはかなりの許容範囲があります。スーパーがあればコンビニは不要とか、自転車で無理なく行ける距離であれば  ” 近い ” とか 、公共交通機関だって1時間に1本あれば十分とか …  。

とりあえず、上記の「地理的な位置」の条件から、おおまかに候補地の範囲を決めました。

「吉井川よりも西、高梁川よりも東で、国道2号バイパスよりも北、津山までは北にあがらない」

なんともざっくりですが、まあこの範囲なら、岡山県内の主な市街地および近畿圏へのアクセスに特に不便は感じないかな、というところです。

また、ずっとそこに住み続けたいということと、予算に限りがあることから、「土地付きの中古物件を購入する」という方針を決めました。

それに加えて今回、私の両親も一緒に岡山に移住することになり、できれば同じ敷地内に、ということで、それも条件に含めることになりました。

そして、7月に入り、いよいよ具体的な家・土地探しに取りかかりました。

今回私たちは、淡路に住みながら岡山の土地や家を探すために、まずはインターネットの情報を利用しました(なんて便利な世の中!)。

不動産サイトなんてこれまであまり見た事がなかったので、掲載されているいろいろな物件に興味がわき、ついつい、絶対に候補になり得ないような物件(ビルとか、豪邸とか…)にも見入ってしまうという道草をしながらも、価格、広さなどの条件が合うものをピックアップするという作業を進めました(自然環境などの細かい点についてはその後で絞り込むことにしました)。

ちょっと郊外へ出れば、山林何万m2付きとか、田んぼ何ヘクタール付きとか、ぶどう園付き(岡山ならではですね)などという広大な土地が、家付きで数百万円で売り出されていたりして、「おお、なんとかなりそう?!」とちょっと楽観的になったのですが、掲載データを見慣れてくると、「市街化調整区域」とか、「都市計画区域」とか、「農地法」などという言葉が気になってきました。

少し調べてみると、それらは、購入したり、事業をしたり、家を建てたり改築したりすることにいろいろと制限があり、地縁のない私たちにとってはかなり大きな障壁になりそうだということが分かりました。

ただ、私たちのような小さな工房もその対象になるのか、などというような具体的なことが分からず、「これはしっかり確認しなければ」ということになりました。

淡路でも近年、移住促進のためにいろいろな工夫をしているようですが、岡山の各市町にも、移住のための支援をして下さる窓口があるとのことで、とりあえずそちらに出掛けて相談にのっていただくことにしました。

この、具体的に岡山へ出掛けて行ったのを機に、私たちの移住計画は、予想外の急展開をみせることになるですが、それはまたこの次に。

 

さて、来月、5月22日から、今回初めてとなる、芦屋での展示会を予定しております。

詳細は、ホームページの「展示会案内」をご覧ください。

先日、DM用の写真を、移転先の岡山の家で撮影してきました。

建部の家の土間で撮影したDM用写真です。
建部の家の土間で撮影したDM用写真です。

こんな感じのちょっと広い土間があるので、移転後は展示スペースにしたいと考えています。

作品は小さめのバタフライテーブルです。

木目のきれいなタモ材を用い、拭漆で仕上げてあります。

用途に応じて天板を拡げたりたたんだりすることができますので、いろいろな使い方をして頂けると思います。

是非展示会にて実物をご覧ください。

(Ku)

 

 

 

【岡山移住顛末】-その1-「移住計画の始動」

家具工房として独立してから今日まで、実家の空き倉庫に居候させてもらってきましたが、いよいよ私たちも独り立ちしなければならない時が来たようです。

「 思い切って岡山へ行こうか … 」

そんなひとことで始まった私たちの岡山移住計画。

住居と工房のための家・土地探しから、改修工事(現在進行中)、そして、これからの引っ越しと岡山での新しい生活 … 。

これから少しずつ、このブログでご報告させていただきたいと考えています。

ちょっとへそ曲がりな2人が、どんなふうに計画を遂行するのか … 。末長くお楽しみいただければさいわいです。

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岡山。

そこは私たちにとって「第二のふるさと」です。

岡山は、大学に進学し、家を出て(羽を伸ばして?)初めて一人暮らしを始めた土地であり、その後の会社員時代も含めれば、12年ほど住んだことのある思い出深い場所なのです。

よく、「岡山の人はよそ者に冷たい」なんてことを聞きますが、さいわいにして私たちにはそのような経験はなく、たいへん居心地のよい場所でした。

今も展示会を毎年倉敷で行っているのは、その頃の友人・知人が多いことに加え、岡山の方々や、街の雰囲気の穏やかさをとても心地よく感じているからです。

お米や果物など、おいしいものも淡路に負けずにたくさんあります。

仕事の面でも、材料の仕入れなど、岡山の方が都合が良くなることも多いのです(今も、岡山の業者さんから仕入れている材料がいくつかあります)。

そんなわけで、「さて、どこへ行こう」と考えたときに、候補として「岡山」が挙がるのは、私たちにとってごく自然なことだったのです。

でも、やみくもに「岡山へ行けばいい」、というわけではありません。

これまで、学生時代から、結婚し、サラリーマン生活を経て現在にいたるまで、必要に応じて何回か転居をしてきましたが、今回はこれまでとはわけが違います。

なんてったって「工房」がくっついています。

工房の移転はかなりの大仕事です。

重くて大きな機械の移動があるから、だけではなく、時間をかけて、作業のしやすいようにつくりあげた配置や造作をバラし、移動し、新しい場所でまた再構築していかなければなりません。

そして、私たちのことを気にかけてくださっているお客様の ” 信用 ” もいっしょに運んでいかなければいけません。

体力的にも精神的にも経済的にも、 ” もう1回 ” は考えられません。失敗は許されないのです。

そこで改めて、「岡山移住」の目的を明確にすることにしました。

” 仕事と私生活をより充実させ、岡山で人生を穏やかに全うする ”

 

ひとくちに「岡山」といっても広いです。

岡山県の地図
岡山県の地図

次回は、この目的を達成するためには何が必要なのかを考え、そしてそれを手がかりに始めた家・土地探しについてお話ししたいと思います。

(Ku)