干し芋に魅せられて

年が明け、底冷えのするような毎日が続いています。

私達の作業場は淡路島を南北に分断する丘陵の上にあり、冬になると西風がまともに吹き付け、気温以上に寒さを感じるのですが、今年の冬は例年に比べて西風の勢いが弱いように感じています。その分だけ肌身に感じる寒さは少しはましなように思うのですが、それでもやはり寒さは身にしみます。

作業場の庭はまだまだ休眠状態なのですが、水仙の芽だけは元気にスクスクと育っています。そういえば、今日(1/13)の朝日新聞の朝刊に、淡路島南部の灘黒岩水仙郷の記事が写真入りで掲載されていました。『約500万本の水仙が咲き始め、見頃を迎えている』とのことです。

水仙郷から紀伊水道をのぞむ
水仙郷から紀伊水道をのぞむ

私達も4年ほど前に一度訪れたことがあるのですが、紀伊水道を望む南側の斜面一帯に、青い空と青い海に包まれて咲き誇る水仙の花はとても美しく、今でも心に焼き付いています。

水仙を下から見上げると…
水仙を下から見上げると…

もし近くに来られるご予定のある方は、是非、訪ねてみて下さい。

昨年末の弘法市で『干し芋』を買って来て作業場の薪ストーブで焼いて食べたらえらく美味しかった、という話を以前にご紹介いたしましたが、そのあまりのおいしさにすっかり虜になってしまった私達は、ならばいっそのこと自分たちで干し芋を作ってみよう、ということになりました。

ただただサツマイモを蒸して、切って、干せばいいのだろう、と想像しつつも、とりあえずインターネットで調べてみると、基本的にはそれでOKなのですが、干し芋に適した品種があることと、なるべくゆっくりふかした方が良い、ということがわかりました。

サツマイモの品種について、干し芋には“玉豊(たまゆたか)”や“玉乙女”という品種が適しているとのこと。どちらも私達には耳なじみのない品種なのですが、ふかしたときに“ベットリ”とした食感がでて、干し芋になってからでもほどよい柔らかさが保たれるのだそうです。

ところが、近所のスーパーに並んでいるのはどれも“鳴門金時”ばかり。

“鳴門金時”は“ホクホク”とした食感が特徴で、普通に食べるには美味しいのですが、干し芋にすると固く仕上がってしまうので、あまり適していないとのこと。それでも、まあとりあえずやってみようということになり、“鳴門金時”で早速取りかかりました。

いも、蒸してます
いも、蒸してます

まず、セイロはないので、厚手の鍋に金ざるを敷き、サツマイモを蒸し上げます。

なるべくゆっくり蒸した方が良いということなので、ふかし芋の香りに包まれながら1時間半ほど、じっくりと蒸し上げました。

いも、干してます
いも、干してます

蒸し上がったサツマイモの皮をむき、薄くスライスして天日に干すこと1週間。説明にあったとおり、確かにカチカチの、丁度干からびたチーズのような干し芋が出来上がりました。

干し芋のできあがり
干し芋のできあがり

ストーブの上にのせ、ほどよく焦げ目が付いたところをみはからって食べてみたのですが、やはり、弘法市で買ってきたものよりも堅めで甘さも少し物足りないような感じです。

家内は思ったよりも上手く出来たと上機嫌なのですが、私は、弘法市のものを口にしたときの、あの感動を期待していたので、少しがっかりしてしまいました。それでも、新しい冬の愉しみを発見できただけで、“よし”とすることにしましょう。

次は、芋の種類を変えて再挑戦です。(Hi)

淡路島の雲海

よく晴れてぐ~んと冷え込んだ月曜日の朝、工房へ向かう道すがら、雲海が拡がっているのが見えました。

2人とも淡路でこんな風景を見るのは初めてで、景色の良い場所に車を駐めて写真を撮りました。

拡がる雲海
拡がる雲海

冷え込んではいるものの、この季節にしては珍しく風の無い穏やかな天候で、凹んだ地形に霧が留まり、このような景色になったようです。

毎朝通る県道157号はちょうど尾根筋を通る格好になるので、高い所からの景色が楽しめます。

この写真は県道を北に向かって「中持」を過ぎたあたりから、南南西の方向を見ています。

雲海の上にはお月様が
雲海の上にはお月様が

向こうの空の雲がなんだか雪を頂いた山脈のようで、淡路島とは思えないような風景でした。空にはお月様がぽっかり浮いていました。

霜が降りてすっかり冬景色
霜が降りてすっかり冬景色

その朝の気温は約2℃。

外に置いてある丸太に霜が降り、すっかり冬景色になっていました(Ku)。

薪ストーブと思い出

節分も過ぎ、立春を迎えたというのに寒さは一向に緩まる気配がありません。

淡路島は瀬戸内に位置しているので“暖かい”というイメージがあるのですが、冬場は西からの風がとにかく強くて、気温以上に厳しい寒さを感じます。さらに、作業場は小高い丘陵の尾根づたいにあるため、朝などは毎日氷点下の冷え込みとなります。

そこで、作業場での朝の仕事はまず薪ストーブに火を入れることから始まります。

一年間貯めておいた“かんなくず”や新聞紙などでまず火をおこし、次に小さな“木っ端”で火を大きくしていきます。火がある程度の大きさになったところで、ようやく薪の投入です。しばらくすると火の勢いが強くなり、そのうちに『ゴーゴー』と音を立てながら暖まってきます。寒いのを少し我慢すれば、私のとても大好きな作業の一つです。

作業場の薪ストーブ
作業場の薪ストーブ

まだ幼かった頃、我が家のお風呂は薪で沸かしていました。天日でお湯が沸く“ソーラーパネル”が屋根の上にあったので、夏場はお湯を沸かす必要がほとんどなく、小さな土間にしゃがみ込んで薪をくべながらユラユラと揺れる炎を見つめつつ、ほっぺを火照らせ、あれやこれやと妄想にふけっていた光景は、もっぱら寒い冬の夕暮れ時の思い出です。

祖父の死をきっかけに、“死”というものを身近に感じ始めたのも丁度その頃で、死んだらあの炎に焼かれて無くなってしまうのかと思うと、『熱いのはイヤだなあ~』とか『もし焼き場の中で生き返ったらどうなるのかな』などなど…。

で、あれやこれやと考えた末、炎の恐怖から逃れるために、今度生まれ変わるとしたら『水』がいいなぁという結論になりました。『水』だと炎に焼かれる心配も無いし、何せ、気体、液体、固体と姿は変われども『水』は『水』ですから…。今思うとなんとも変な妄想にとりつかれていたものです。

オーロラをおもわせる炎の揺らめき
オーロラをおもわせる炎の揺らめき

薪ストーブのオーロラにも似た炎の美しい揺らめきに見とれながら、そんな昔のことを何となく思い出している今日この頃であります。(Hi)

三日月と金星とほろふき大根

木曜日、仕事を終えて工房を出ると、目の前の空にきれいな三日月と明るい金星が並んで輝いていました。

並んだ三日月と金星
並んだ三日月と金星

工房の出入り口はちょうど西を向いているので、三日月の時期はいつも帰るときに月と向き合うことになります。

工房の周りは明かりもすくなく、星がとてもきれいなのですが、つい寒さに負けてバタバタと車に乗り込んで家路を急いでしまいます。

ここ数日は淡路も寒さが厳しく、暖かいおかずがなによりのごちそうです。冬といえば、おでん,おなべ,なべやきうどん,それに”ほろふき大根”。

ほろふき大根
ほろふき大根

知り合いにいただいた手づくりの柚子がたっぷり入った”柚子みそ”でハフハフ言いながらいただきます。(Ku)

秋の空と冬の夜空

火曜日の午後、ふと空を見上げると真っ青な空に真っ白な雲がきれいに拡がっており、思わずシャッターをきりました。

秋の空と雲
秋の空と雲

空の高さを感じさせる澄みきった秋の青空と真綿のような真っ白な雲。なんという雲かは分かりませんが、上空の空気の流れが見えるようでした。

その日の夕方、帰り際にまた空を見上げると、見事な”かさ”をかぶった月と明るく輝く木星が見えていました。かなり分かりにくいですが、月の左下方に写っている小さな点が木星です。

”かさ”をかぶった月と木星
”かさ”をかぶった月と木星

東の空に木星が見えるようになると、冬が来たことを実感します。昼間は秋の空だったのに、夜はもう冬の空です。この日はちょうど立冬だったようです。

工房の周りは街灯も無く、月のない夜は星がよく見えます。冬は空気が澄み、特にきれいな星空になります。南の空にのぼったオリオン座やおうし座などを見るたびに”冬だなぁ~”と思うのです。

ATLANTIC TIGER
ATLANTIC TIGER

今日はお客様にご相談いただていた額の打合せで明石に出掛けてきました。明石港から歩いて行ける場所だったので、久しぶりに高速船で明石海峡を渡りました。途中、明石海峡大橋の近くで”ATLANTIC TIGER”というとても大きなばら積み船とすれ違いました。先ほどインターネットで調べてみたところ、約9万トンの船だとか。何を積んで、どこへ向かっているのでしょうか…。

さて、倉敷での個展まであと1週間となりました。前回ご紹介した”文机”も無事完成し、あともうひとつ、個展までに完成予定です。こちらは展示を見てのお楽しみ、ということで。(ヒント:小物ではありません。冬は格別です。)(Ku)

銀世界の淡路

淡路島にも雪が積もりました。

金曜日(2月11日)、朝起きて外を見ると、車の上にうっすらと雪が積もっていました。自宅の裏の方にある山々は真っ白。ここまで真っ白になったのを見るのは、淡路に住むようになって初めてです。

雪景色を見ながら、さあ、仕事に出掛けようとしたそのとき、「工房へ行く道路には雪が積もっていて車が走れない」という一報が…。

工房と自宅との標高差は約300m、気温も2度は違います。予報では1日中雪とのことでしたので、無理をせず臨時休業としました。

自宅から見た雪景色
自宅から見た雪景色(2月11日)

翌土曜日は道路の雪もほとんど溶けており、無事に仕事場へ。

工房へ行く途中、「あわじ花さじき」に寄ってみました。駐車場などの一部では雪は溶けていましたが、公園内は一面の銀世界です。

まだ早い時間だったので、降り積もったままのきれいな雪景色を見ることができました。

銀世界の花さじき-2
銀世界の花さじき-1

こんな本格的な雪景色は小諸に住んでいたとき以来です。

雪の積もった花さじきの階段
銀世界の花さじき-2

階段にも雪が積もっており、滑って転ばないように用心して上がりました(小諸に住んでいた時はよく派手に転んでいました)。

雪に埋もれた鉢植え達
雪に埋もれた鉢植達

工房の周りももちろん真っ白です。裏庭にいくつか置いてある鉢植えも雪に埋もれてしまいました。先週の「ひば」の鉢もこの雪の中です。運命やいかに…。

待ち遠しい春ですが、こんな冬らしい景色もときにはよいものです。

ルーシー・リー展
ルーシー・リー展

今日は、午後から大阪で仕事の打合せがありました。午前中は空いていたので、東洋陶磁美術館で開かれていた「ルーシー・リー展」を見に行ってきました。最終日ということもあり、たくさんの見学者が訪れていました。

色鮮やかな釉薬、繊細な造りの器が数多く展示されていました。様々な形の「ボウル」が特に興味深く、深い味わいの白色には心を惹かれるものがありました。(Ku)