渦潮観光

西の空に日が沈み、夕焼けが次第に薄い紺色に変わると、急な坂道を転げ落ちるように一気に夜の闇が訪れます。

その闇の訪れを待っていたかのように、虫の音が一段と大きくなります。

私達の暮らしているまわりでは、先週あたりから稲刈りが始まっていて、吹き抜ける風が稲わらの香ばしい香りを運んできます。「夏の終わり」というよりも、「秋の訪れ」と呼んだ方が何となくしっくり来るような、そんな感じです。

今日(9月16日)、家内の高校時代の友達が静岡から遊びにやって来ました。

1日をかけて淡路島を案内することになり、いろいろと思案した結果、鳴門の渦潮を見に行くことにしました。せっかくなので、船の上から見ようこということになり、島の最南端の「福良」というところから観潮船に乗り込みました。

淡路で生まれ育った私なのですが、観潮船に乗るのは初めてのことです。

帆船の「日本丸」を模した観潮船は福良港から出港し、狭い湾内をすり抜けて一路鳴門海峡を目指します。港を出ると遙か彼方に鳴門海峡大橋が見えてくるのですが、遠目にも白い水しぶきが上がっているのを見ることが出来ます。

まるで川の流れのような…
まるで川の流れのような…

15分ほどで鳴門海峡大橋の真下に到着すると、西から東へ、瀬戸内海から太平洋へと潮が流れている真っ最中でした。

昨日がたまたま大潮だったこともあり、大きな落差を伴った潮の「流れ」は、まるで「川の流れ」そのもので、びっくりするほど力強く、圧倒されました(潮の落差は春の大潮の時が最大となり、4メートルにもなるそうです)。

渦が出来ては消えて…
渦が出来ては消えて…

流れのあちこちに、大小さまざまの「渦」が出来ては消え、また出来ては消え…。そのたびに船内では大きな歓声が上がります。

鳴門海峡を後にして…
鳴門海峡を後にして…

船は、潮の流れの中を何度も行ったり来たりして私達を楽しませてくれた後、30分ほどでその場を後にして福良港へ戻りました。あっという間の1時間。自然の雄大さを体感した1時間でした。

工房では、秋の展示会に向けて、戸棚やコモノなどの製作が追い込みに入っています。

モグラでモコモコ
モグラでモコモコ

庭では“モグラ君”の活動が再び活発になってきています。

どうしたものか、トホホッ…です。(Hi)

”のじまスコーラ”に行ってきました

いつもお世話になっている姫路のギャラリーのオーナーさんが淡路にいらっしゃいました。ランチをどうしようかと迷った末、先月オープンした ”のじまスコーラ” に行ってみました。

のじまスコーラ
のじまスコーラ

ここは、昨年廃校になった”野島小学校”の校舎や敷地を活用した施設です。

周囲におしゃれなデッキやパラソル、軒が付けられていますが、窓の雰囲気や時計台など、学校の名残はそのままです。

のじまスコーラ駐車場
のじまスコーラ駐車場

運動場がそのまま広々とした駐車場となっており、片隅には遊具やプールがそのまま残されています。

採れたて野菜や焼きたてのパンを販売するマルシェ、ランチやティータイムを楽しめるカフェ、コース料理などのディナーをいただけるリストランテ、ミニコンサートなどが開かれるミュージックホールなどが、教室だった部屋を利用してつくられています。

カフェでのランチメニューは、メインとしてパスタ、カレー、ピッツァから1品選び、これに食べ放題の野菜バー(フォカッチャ付き)が付いています。今回はちょっと贅沢にコーヒーとデザートもセットに。

パスタとピッツァ
パスタとピッツァ

3人でそれぞれ違うものを注文し、少しずつ分け合って頂きました。

2種類のパスタ、”淡路玉葱とベーコンのトマトソース”と、上の写真の魚介類のたくさん入ったもの(メニューの名前は忘れました)と、淡路たまねぎのたくさんのった白いピッツァ(これも名前は忘れました)。

淡路たまねぎの甘みや魚介類の旨み、トマトのやさしい酸味など、どれも薄味で素材の味がよく分かり、とてもおいしかったです。

生野菜や、ボイルやソテーしただけのシンプルな野菜に好きなドレッシングをかけて好きなだけいただける”野菜バー”もよかったです。ただ、お腹がすいていたので、メインが出てくるまでひたすらこれを食べてしまい、全て食べ終わる頃には少々食べ過ぎの状態に…。

デザートは大きなティラミスでした(すみません、写真を撮る前に平らげてしまいました)。

工房から15分ほどで行くことができるので、またお客様がいらっしゃったときなどに行ってみようと思います。

器のふた-1
器のふた-1

先日、お茶をされるお客様から、切り子ガラスのコップを“なつめ”に見立てて使うための ”蓋” をご注文頂きました。

ご要望をお聞きしながら何種類か試作をさせていただいたうえで、2種類をお作りし、このたび納品させていただきました。

器のふた-2
器のふた-2

細かい木目がきれいに現れる ”せん” を使用し、涼しげな器に合うようにオイル仕上げとしました。

蓋を付けることでコップが立派な“なつめ”になるとのこと。”見立て”の楽しさを教えていただきました。(Ku)

ブラックベリーのジャム(2012年)

7月半ばから少しずつ収穫していたブラックベリーの実も8月末で終わりました。

冷凍してためておいた実は1.8kgになり、今日ジャムにしました。ブラックベリーに占拠されつつあった冷凍庫も一気にスッキリしました。

冷凍保存してあったブラックベリーの実
冷凍保存してあったブラックベリーの実

まず、火にかけて煮ます。

お鍋の中のブラックベリー
お鍋の中のブラックベリー

10分ほど煮ると柔らかくなるので、ザルで漉して種を取り除きます。粒々した種が結構たくさん入っています。

種の漉し取り
種の漉し取り

そして、砂糖の投入です。

実の半分の重さの砂糖を入れるので、約900g。ボールに入れてみるとその量の多さを実感します。

ジャムに入れる大量の砂糖
ジャムに入れる大量の砂糖

そして再び煮込むこと約15分(意外と短いのです!)。

去年はここで煮詰め過ぎ、冷めたときには ”ジャム” というよりは、羊羹のような固いゼリー状になってしまったので、今年は「もうちょっとかな?」と感じるくらいの固さになったところで火を止めました。

瓶詰めしたジャム
瓶詰めしたジャム

保存のため、アルコール消毒したビンに煮上がったばかりのアツアツのジャムを入れてフタをし、逆さまにして冷まします。今年は大小合わせて6ビンできあがりました。これでまた1年楽しめます。

我が家では主に朝食のヨーグルトに入れて食べているのですが、現在ちょうど、昨年作った最後のビンが半分ほど無くなったところなので、ちょうどよいペースのようです。

出来たてほやほやのジャム
出来たてほやほやのジャム

今年は煮詰め具合もちょうどよかったようで、冷めてもトロトロのおいしいジャムに出来上がりました。

お昼ごはんに、クリームチーズを塗ったパンに出来たてのブラックベリージャムをのせていただきました(なんと贅沢!!)。

入っている砂糖の量を心に留めて食べ過ぎないようにしなければ!!

”サギ草”の花
”サギ草”の花

さて、工房の庭では、”サギ草”がきれいな純白の花を咲かせています。

”サギ”が翼を開いて飛んでいるような花の形は名前の通りで、その精巧さと不思議さに見とれてしまいます。(Ku)

こんなに近くにこんな場所が!!

秋の個展(今年は10月に、岡山県玉野市の『サンコア』さんと、倉敷市の『スペースみき』さんでの開催を予定しています)を控え、現在案内はがきの作製中です。

はがきの作製では、はがきの ”顔” となる作品写真が最大の悩みどころです。シンプルで分かりやすく、でもさりげなくインパクトがあり、”これは実物を見てみたい!!” と思って頂けるような写真になるよういろいろと思案します。

中でも大切なのが ”撮影場所” です。作品の特徴がはっきり分かるよう、できるだけ背景や床面がすっきりしている場所を選びたいのです。

昨日、『スペースみき』さんでの個展用の写真撮影をしました。

今回は、裏板が無く、背景がそのまま向こうに見えてしまう『四方棚』をはがきの ”顔” に選んだので、背景のシンプルさがポイントと考えました(広い壁の前とか、だだっ広い広場とか…)。サイズの関係で、作品とカメラとの距離もそこそこ必要なこともあり、なかなか ”ここぞ” という場所が思い浮かびませんでした。

そこで試しに、 ”県立淡路島公園” に行ってみました。ここは、工房から車で3分ほどのところにあり、公園の前の県道はしょっちゅう通っているのですが、近いが故か一度も行ったことがありませんでした。

とりあえず工房から一番近い、県道沿いの駐車場に車を駐めて公園内に歩いて行くと…。

県立淡路島公園の芝生広場
県立淡路島公園の芝生広場

なんと、ただただ広い芝生広場が目の前に拡がっているではありませんか!

こんなに近くにこんな素敵な場所があったなんて!!!

しかも芝もきちんと手入れされており、芝生の他に目に入るのはわずかな樹木と抜けるような青空のみ。

”今回の写真はここで!” と、2人の意見もまとまり、陽の当たり方も考えて翌朝早くに撮影を行いました。どんな写真になったかは後日、出来上がったDMで紹介させていただきます。

この芝生広場から、淡路インターのあるハイウエイオアシスまでの約5kmが公園として整備されているとのこと。こんどはお弁当と本を持ってゆっくり遊びに行きたいと思っています。

綿の花
綿の花

工房のプランターで”綿”が花を開きました。

昨年の倉敷での展示会で、毎回来て下さるお客様が”綿の実” をいくつか下さいました。「春に中の種を播くと芽が出るから」とのことで、5月に播いた数粒の種が無事に育ち、きれいな花を咲かせました。

種類などの詳しいことをお聞きするのを忘れたため、インターネットで調べてみると、アメリカの綿のようです。不思議なことに2日目に花の色がピンクに変わります。花が終わってから実をつけるまで約2ヶ月もかかるとのこと。「綿をためていつか布団をつくるんだ!」と言ったら笑われましたが、綿の実がはじけるのが待ち遠しいです。

夏野菜の収穫
夏野菜の収穫

昨日、この夏最初のカボチャを収穫しました(坊ちゃんかぼちゃです)。きゅうりはそろそろ終わりのようですが、7月初めの初収穫から、毎日2~3本の収穫がありました。なすは今頃になって葉や茎が茂り、花をたくさん付け始めました。”秋なす”としてしばらく楽しめそうです。

草むしりをすると小さなコオロギが飛び回り、ツクツクボウシも鳴き始めましたが、この暑さでは、まだまだ”残暑”という言葉はしっくりきません。もう少し昼間の暑さがゆるんで欲しいものです。(Ku)

オリンピック、感動をありがとう!!

ロンドンオリンピックが終わりました。新聞・テレビでの特集も少しずつ減り、一時期の興奮もおさまってきました(でも、もうすぐパラリンピックが始まりますね)。

夏,冬問わずオリンピックに熱中する我が家ですが、残念ながら今回は時差のため、リアルタイムで観戦することはほとんど出来ませんでした。でも、結果だけでなく、どうしても試合自体をしっかり見たい競技がいくつかありました(サッカー、水泳、体操など)。

そんなときは、夜中の中継を録画しておいて、翌日の夕食時に観るという方法をとります。もちろん、観る前に結果を知ってしまっては面白くありませんから、録画を観るまではテレビやラジオのニュースはシャットアウト。工房で普段流しっぱなしにしているラジオもそんな日は音楽CDにチェンジです。

家に帰ってテレビをつけた瞬間にニュース番組が流れないか、とか、パソコンを立ち上げたときにニューストピックが出ないように、など結構気を遣います。

ところが、意外な落とし穴が…。

仕事から帰ってから観ようと夜中の試合を録画し、「今日はニュースに気を付けようね」などとお互いに注意しながら仕事に出掛けようと家を出た瞬間、お隣のおばさんの声が…。

「サッカー、よかったなぁ」

そう、それは”なでしこジャパン”が、準決勝でフランスに勝った朝のことでした。

お隣のおばさんは”寝不足で…”などと言いながらも夜中の試合もしっかり観ているそうで、私達の顔を見ると、親切心から最新の結果を教えて下さるのです。

「男子、負けちゃったなぁ」 これは、男子サッカーが準決勝でメキシコに負けた朝。

ただ、単純なもので、結果を知っていても、録画を見始めると手に汗握りながら熱中するのではありますが…。

オリンピックではいつも、言葉では表せないような特別なプレッシャーの中できちんと結果を出していく選手たちに驚嘆するばかりです。才能のある人たちがそれに溺れることなく、ひたむきに努力し、がんばり、汗と涙を流す姿からは感動と勇気をもらい、”おまえももっとがんばれよ!”と鼓舞されるのです。

お仏壇(拭き漆仕上)
お仏壇(拭き漆仕上)

さて、先日、ご注文をいただいていたお仏壇を納品してきました。

材料は”きはだ”で拭き漆仕上げ、引き手は真鍮製です。

5月の”ひめじクラフト・アートフェア”で小さめの『厨子』を展示したのですが、たまたまお仏壇をお探しのお客様がご覧になり、シンプルですっきりしたデザインをたいへん気に入って下さいました。

後日ご連絡を下さり、具体的にお話しをすすめさせて頂けることになりました。

お客様のご希望で、基本的なデザインは変えず、中に納めるお位牌の数やサイズ、置く場所の様子などから、展示していた厨子よりも1周り大きくし、中にひな壇をおつくりしました。

お仏壇(扉を開いた状態)
お仏壇(扉を開いた状態)

予定されていた、和室に造りつけの飾り棚に設置させていただきましたが、照明の具合も良く、お部屋そのものの落ち着いた雰囲気にうまく溶け込み、ほっとしました。

お客様からも「味わいがあり、落ち着いた感じ」と、とても喜んでいただけました。9月にご実家に置いてあるお位牌を持ってこられるとのこと。落ち着いたお祀りの空間づくりのお手伝いができたことをたいへん嬉しく思っています。(Ku)

『夏が来た!!』展、始まりました。

8月11日土曜日、岡山県玉野市のギャラリー”サンコア”さんにて、今年も ”夏祭り企画展” が始まりました。今年は『夏が来た!!』がテーマです。

初日11日の夕方にはオープニングレセプションが開かれました。サンコアさんが用意してくださったり、各々が持ち寄ったりした料理に舌鼓を打ちながら、普段あまり交流することの無い分野の作家さん達と、とても楽しく刺激的な時間を過ごさせていただきました。

膨大な数の作品を展示してすばらしい空間をつくりあげてくださった実行委員の方々や、ギャラリーのオーナー、スタッフのみなさんにとても感謝しています。ありがとうございました。

「夏が来た!!」というお題は、日常的な道具としての家具を製作している私達にとってはかなり漠然としており、何をつくろうか2人とも相当悩みました(とても楽しくですが…)。

で、できあがったのがこちらです。

『夏器』(太田秀世)
『夏器』(太田秀世)

『夏器』(製作:太田秀世)。
”花器” をもじった題のとおり、お花を活けていただくための器です。叩いて凹ませた銅板を内側に沿わせてありますのでお水を張って頂けます。今回の展示では、中に小石やちりめん細工の金魚を入れて金魚鉢に見立てています。

材料は”楠”です。実は以前に薪用として頂いた伐木の中に、燃やしてしまうのはあまりにもったいないような立派な楠が何本か紛れ込んでいました。これらは薪にしてしまうのはやめて、コモノなどの材料にすることにしたのですが、その一部を使用しています。

先週のブログ”古いナタのお話し”に出てきたナタは、この鉢の外側を削り出すのに使ったのです。

外側や内側の荒削りにはチェーンソーも使っていましたが、部屋中に木くずが飛び回り、横で別の作業をしていた私も木くずまみれになりました。楠は樟脳を含んでいるので、工房に樟脳の香りが充満し、しばらくの間2人とも衣替え直後の服のようなにおいをプンプン漂わせておりました。

『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)
『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)

こちらは私の『なべしき (夏バージョン)』(製作:太田久美子)。
普段から桂材でなべしきを作っているのですが、今回は私が”夏”から連想することを図案にしてみました。”夏”といえば、太陽,入道雲,海,ひまわり,ゴーヤ,うなぎなどなど…。全12種類になりました。

全部並べるとこうなります。

全12種類のなべしき
全12種類のなべしき

展示スペースの関係で、一部を壁に掛けて展示していただいています。

岡山周辺をはじめNY在住のアーティストさんまで、計82人の作品が展示された空間は圧巻です。1人で2,3点出品されている方もいらっしゃるので、作品数は優に100点を超えていると思います。

昨年は”モビール”ということで、ある程度の形の制限があったのですが、今年はそれが無いためか、実にさまざまな”夏”がギャラリーいっぱいにはじけている、という印象です。絵,写真,焼き物,彫刻,映像など、そんなくくり方が無意味に思えるような”夏”の空間を是非ご堪能いただければと思います。

2012年サンコア夏祭り企画『夏が来た!!展』は、8月11日(土)~27日(月)です(14日と24日は定休日)。詳細はホームページよりご確認ください。

さて、話は変わりますが、倉敷市の児島という所に、私達が学生の頃からよく買いに行っていた、”甘月堂”という、いちご大福で有名な和菓子やさんがあります。

ほどよい量のあんをまとった大きくて甘酸っぱい苺が薄く柔らかいおもちに包まれたそのいちご大福は、”大福”というよりも、フルーティーな洋菓子に近い感覚で、2人とも大好きなのです。今でも、倉敷や玉野方面に出掛けて時間に余裕のあるときは必ず買いに行くのですが、今回も、もちろん行ってきました。

大好きな”甘月堂のいちご大福”
大好きな”甘月堂のいちご大福”

餡は基本の”赤あん(小豆の普通の餡)”や”白あん”のほか、”トマトあん”、”チョコあん”などがあり、中のフルーツも、いちごだけではなく、キウイ、バナナや季節限定のマスカットなど種類もいろいろです。

今回は、赤あん、トマトあんのほか、季節限定のマスカット入りを購入してきました。売り切れ御免、支店も通販もホームページも無いという小さなお店ですが、そんなところも気に入っている私達です。これからも機会を見付けてはあの”いちご大福”を買いに行くことでしょう。(Ku)