あと、もうちょっと

工房の畑ではこの夏、エダマメ,きゅうり,なす,たかのつめ,かぼちゃ,そしていつものハヤトウリを育てています。あともうちょっとで収穫できそうなものが目白押しです。

畑の様子(2012夏)
畑の様子(2012夏)

工房は標高およそ250~300mの『北淡路高原』の中にあります(”高原”です!!)。市街地よりも気温が2℃ほど低いため、花や野菜の育ち方はちょっと遅れぎみです。

そのため自宅のご近所や実家などで最盛期を終えるころに見頃・採り頃を迎えるので、時間差ができて長く楽しむことができます。

エダマメ,きゅうり,なす,たかのつめは小さな実を付け始めました。

実の付き始めたエダマメ
実の付き始めたエダマメ

エダマメは小さいときから毛むくじゃら。これからカメムシに注意です。

小さな実を付けたキュウリ
小さな実を付けたキュウリ

先っぽに花を付けたきゅうりは、小さなイボイボも付いていてミニチュアみたい。

ナス
ナス

ナスは苗を植えた直後にヨトウムシにほとんど丸裸にされてしまいました。ヨトウムシ退治後になんとか盛り返し、やっと実を付け始めました。

まだ青いタカノツメ
まだ青いタカノツメ

ホームセンターで値下げ処分されていたタカノツメ。ちゃんと花を付け、小さな実を付けています。辛~くなあれ!

ハヤトウリとかぼちゃは今のうちに葉をいっぱい茂らせて成長してもらわないといけないので、せっせと追い肥をしています。

いつものベリー類も順調です。

ブルーベリーはまだまだ…
ブルーベリーはまだまだ…

ブルーベリーも実を付けましたが食べ頃になるにはもうしばらくかかりそうです。

色づき始めたブラックベリー
色づき始めたブラックベリー

今年もたくさん実を付けたブラックベリーは色づき始め、そろそろ少しずつ収穫できそうです。ちょうど昨日、去年作ったジャムの最後の1瓶を開けたところなので、それが無くなる頃に今年のジャムを作れるのではないか、と期待しています。

今年の新兵器は”竹酢液”です。

プランターでとても立派な野菜を作っているお隣のおばさんにすすめられ、薄めたものを葉にスプレーしてみたのですが、葉の色つやが目に見えて良くなりました。病害虫にも効くらしいので、夕方の水まき後にせっせとスプレーしています(なので、畑の周りは燻製のようなよい香りが漂っています)。

夏野菜は実の野菜が多く、採りがい、食べ応えがあり、育てていてとても楽しいです。どれもあともうちょっと。虫たちに負けずにしっかり育ちますように!(Ku)

懐かしい出会い

気のせいか、今年はツバメの数が多いように感じます。

厚い雨雲に覆われた空の下、互いに鳴き声を交わしながら、勢いよくとび回っている姿をよく目にします。

田植えの終わった田んぼでは、灰色サギが水面に目をこらしながら、まさに“抜き足差し足”といった風情でゆったりと歩いています。

工房の脇の庭では今年も桔梗の花が開きました。

桔梗のつぼみは紙風船のようです
桔梗のつぼみは紙風船のようです

ある朝のこと、作業前に庭の様子を見回っていると、今にも開きそうなつぼみを見付けました。紙風船のような“まあるい”つぼみは今にもはじけそうで、中の様子を想像すると、なんだか年甲斐もなくワクワクします。

いつもは開ききってしまったあとに気が付き、開く様子を注意深く見たことがなかったので、そっと手で開いてみたい衝動を抑えつつ、今回はマメに観察してみることにしました(もちろん、作業の合間に…)。

中央から放射状に切れ目がひろがり…
中央から放射状に切れ目がひろがり…

昼前になると、つぼみの先端から放射状にひかれた五本の線に割れ目が入っており、中の様子をのぞき見ることが出来ました。

つぼみの中央に位置する“雌しべ”は何かのモニュメントのようで、厳かな感じがします。その一方で、花びらで柔らかく包み込まれたその外観からは、甘い上品なパイ生地の洋菓子を連想してしまいます。

生まれたての“青”
生まれたての“青”

お弁当を食べて、少しゆっくりしてから再び覗いてみると、花は既に開ききってしまった後でした。何の拍子にどのように開くのか、その瞬間は今回も観ることは出来ませんでしたが、初めて外気に触れた桔梗の“青”は、“みずみずしい”の一言に尽きます。

毎年決まった時期に芽を出し、そして花を咲かせるその健気な姿を眺めていると、小さな花一つにも自然の営みの偉大さを感じずにはいられません。めまぐるしく変化する私達の日々の暮らしの中で、時にはそんなものに目を向ける心のゆとりも大切にしたいものです。

先日の地元での初めての展示会では、いくつかの懐かしい出会いがありました。

高校まで一緒だった同級生。私達が子供だった頃は、年頃の特有の恥ずかしさもあり、異性と言葉を交わすことはあまり無かったように思います。なので、あんなにゆっくりと話しをしたのはもしかしたら初めてかもしれません。友達の近況や、すっかり変わってしまった故郷のことを、懐かしい言葉で話しました。

東京で活躍しているという同級生のお母さん。高校の時水泳部だった彼とは、大学2年の夏休み、帰省していた時に地元のプールへ一緒に通いました。

そして、中学1年生のときから高校1年生までの4年間、兄と2人で家庭教師をして頂いた方とも約27年ぶりに再会しました。

当時の私は、今思い返してもお世辞にも勉強が出来るとはいえず、飽きっぽい性格とめんどくさがり屋の性格が合わさって、何に対しても中途半端で短絡的な子供でした。

2歳年上の兄が勉強を見て頂いていたので、ついでに私も、ということになり、週2日、英語と数学を見て頂くことになりました。教科書を中心に、丁寧に教えて頂いた甲斐があり、その頃から、少しずつ“解る楽しさ”に触れることができるようになったと思います。そして、いろいろなところへ寄り道をしながら、今日に至るわけです。大げさに、なおかつ、かなり大胆に省略して言えば、勉強をして、大学へ行って、家内と出会い、今日のような生活をする土台を築いていただいた、といっても過言ではないかもしれません。

ナラの玄関椅子
ナラの玄関椅子

その方が、今回、玄関椅子をご注文下さいました。

ご自身で経営しておられるグループホームの玄関で使用されるとのこと。今までお使いになっていたものは、小さなアームがついたタイプのもので、当初はつかまったりするのに便利ではないかと考えておられたのですが、実際にお年寄りがお使いになると、何かのはずみでそのアームの部分に腰掛けることになったりして、かえって危険なことが多く、困っておられたとのこと。

今回の展示会でご覧頂いた玄関椅子の、座板の長さと奥行きを大きくし、オイル仕上げでお作りすることになりました。座板を長くしたことで、お年寄りのご夫婦に仲良く隣り合ってお座り頂くことも出来るようになりました。

樹種は、ナラで、木目が詰まった素直な材です。長く使い込んでいくことで、ツヤも上がり、きっと味わい深いものになると思います。ありがとうございました。

今回、いくつかの懐かしい出会いに恵まれ、改めて気がついたことがあります。

それは、私達は、今を“点”で生きているのではなく、過去から現在、そして未来へと続く“線”の上を生きているということです。今を生きる世界中の人達の70億の線の交わりが“出会い”ということになるのでしょうか…(Hi)

梅雨空の下

ここしばらくは梅雨らしい天気が続くようです。

そんな梅雨空の下、工房の庭では紫陽花が花盛りを迎えています。

西洋アジサイの花
西洋アジサイの花

この西洋アジサイは、工房を立ち上げた頃に鉢植えで買って来たものです。もう1本工房の壁側にも植えてありますが、毎年大きな青い花を咲かせてくれます。

ヤマアジサイの花
ガクアジサイの花

こちらはガクアジサイ。額縁のように周りの花びらだけが開くのがこの名の由来だそうです。昨年の秋、よく陽の当たる場所に植え換えたところ元気に茂り始め、控えめながらきれいな花を今年はたくさん咲かせてくれています。

横から見ると3枚の花びらが同一平面上に揃い、まるでヘリコプターの羽根のようでとても美しいです。自然の神秘ですね。

そして足もとでは…。

小さなアカガエルがいっぱい
小さなアカガエルがいっぱい

庭で草むしりをしていると、なにやら小さなものがピョコピョコしているのに気が付きました。よく見ると小指の爪ほどの小さなカエルが何匹も…。”蛙ピョコピョコ3ピョコピョコ”どころではありません。

周囲を探してみると、どうも工房脇の側溝にカエルが卵を産んでいたらしく、そこで育ったオタマジャクシ達がカエルの姿になって上陸を始めたようです。

以前から赤っぽい小さめのカエルが数匹、庭に住み着いているのは知っていましたが、あのカエル達の卵でしょうか…。

調べてみると、”ニホンアカガエル”という森林や丘陵地で生活するカエルのようです。昔から日本にいるカエルなのですが、水路の整備などの影響を受けて減少しつつある種類とのこと。ヘビなどの天敵もいる庭ですが、無事に成長していって欲しいものです。

5月21日の金環日食(フィルムカメラ)
5月21日の金環日食(フィルムカメラ)

望遠レンズを使ってフィルムカメラで撮影した金環日食の写真の現像ができてきました。これは”金環”になる直前で、月のクレーターのでこぼこによる”ベイリービーズ”が写っています。望遠レンズを通して観たこの瞬間はとても感動的でした。

さて仕事の方は、先日の淡路での展示会でご注文頂いた小さめのお仏壇の製作中です。また折を見て製作過程を紹介させていただきます。(Ku)

おばあちゃんの机

夜になるとカエルの気持ちよさそうな鳴き声が聞こえるようになりました。

雨の季節を前に、我が家のまわりでは田んぼに水が張られ、田植えが始まっています。

中学生の頃、国語の授業で『~遠田の蛙、天に聞ゆる』という斎藤茂吉の短歌を習いました。教科書に取り上げられている短歌はどれも、きっと優れた短歌なのだとは思いますが、この『~遠田の蛙』の歌と『 白鳥は 哀しからずや 空の青~』という 若山牧水の短歌だけはなぜか印象深く、いまでもそのころの情景とともに、心の中に残っています。

おばあちゃんの机
おばあちゃんの机

上の写真は昨年の1月に99歳で亡くなった私の祖母が使っていた座卓です。形見わけ、という訳ではないのですが、家具を作る仕事をしている、ということで、このたび私の元へ引き取られることになりました。

祖母と最後まで一緒に暮らしていた叔父夫婦は、『何かの部材としてでも活用してくれれば…』という思いで託してくれたようなのですが、父に相談したところ、父がものごころついたときにはもう既に使っていた、と言うのです。そういえば、私も小さいときに見たような気が…ざっと考えてみても70年以上の歴史を刻み込んだ机、ということになります。

あらためてみてみると、天板と枠のあいだにはすき間が空いていたり、木が欠けているところがあったりと傷んでいるところもあるのですが、構造自体はしっかりしていて、さらに、長い年月使い込まれてきたせいで角がすり減り、全体的に柔らかく丸みを帯びていて、何ともいえぬ雰囲気を醸し出しているのです。父にとっても思い出深い机らしく、大事に使うことを条件に、私が引き取ることになりました。

今使っている机(訓練校の卒業制作でつくったもの)をかたづけて、これから丁寧に使い込んでいこうと思っています。この机を眺めながら、私達も、世代を超えて大切に使っていただける家具を作っていかなければ、という思いを強くした次第です。

冬の冷え込みが厳しかったせいなのか、今年は生りものが豊作です。

いちご -収穫は早い者勝ちです-
いちご -収穫は早い者勝ちです-
収穫したソラマメ
鞘ごと網焼きにしても美味しいです

工房の脇の畑では、今、空豆といちごが収穫期を迎えています。

空豆については春にこのブログで紹介しましたが、思った以上の大豊作で、大きな実がたわわに実っています。普段お世話になっているご近所さんにおすそ分けし、あとは私達の胃袋へ…

湯がきたてを“ほぐほぐ”ほおばったり、鞘ごと網焼きにして、これも“ほぐほぐ”ほおばったり、食いしん坊の私達は写真を撮るのも忘れて“食”を楽しんでいます。(Hi)

初めて地元で展示会を行います

このたび、初めて地元の淡路で展示会を行います。

会場は淡路市の文化施設 ”サンシャインホール”2階のギャラリー、会期はこの金曜日(25日)から翌週月曜日(28日)までの4日間です。
(詳細はホームページの『展示会案内』でご確認ください)

展示会のご案内-1
展示会のご案内-1
展示会のご案内-2
展示会のご案内-2

淡路に工房を構え、9年目に入りました。地元で認めて頂くにはまず、淡路島外である程度の実績を積まないと、という思いで、これまで岡山や神戸、三田などで個展の開催やグループ展への参加などを行ってきました。

”ていねいに,シンプルに”という信念もかたまり、そろそろ地元の方々に作品をお見せできるかな、ということで、このたびの展示会を行うことにいたしました。

広報活動が苦手なこともあり、地元で”太田秀世家具工房”のことをご存じの方はほとんどいらっしゃらないと思います。

工房と自宅が離れていることもあって、隣近所でも「家具を作っているというけれど、どんな物を作っているのだろう」とか、ひょっとしたら、「家の前に時々大きなトラックが駐まっていたり不規則に留守になったりするけれども、あの2人は何をして生活しているのだろう」と思われているかもしれません。

”地元にこんな家具を作っている者がいる”ということをたくさんの方に知って頂くとともに、ご近所のみなさんにも私達の仕事をご覧頂ければ、と考えています。

地元ということで、これまでの展示会とは違った緊張感があります。来て下さる方々の期待を裏切らないよう、精一杯の準備をしたいと思います。

会期中は2人で会場でお待ちしております。お気軽にお立ち寄りください。
(サンシャインホールへのアクセスはこちらをご覧ください。周辺の駐車場は2時間まで無料です。)

”ちょっとスツール”ご案内
画像をクリックしてください

5月は季節もよく、イベントも目白押しです。先日少しご紹介した『木工家ウイークNAGOYA・2012』の企画イベント「ちょっとスツール 和みタイムvol.2」も5月24日に始まります。先日、出品するスツールとカトラリーを発送しました。

こちらは6月10日まで、東急ハンズ名古屋店9階のイベントスペースで開催されます。私達は在廊いたしませんが、お近くにお出掛けの機会がございましたら、是非お立ち寄りください。

たくさん穫れています”スナップえんどう”
たくさん穫れています”スナップえんどう”

私が”早く実になれ~早く実になれ~”と唱えていたスナップえんどうはその後せっせと実を付けだし、今は毎日小さな鍋に半分ほどの収穫があります。上の写真は、前の日に穫らなかったのでお鍋にいっぱいになりました。

しっかり食べて、元気な姿で展示会でお会いしたいと思います。(Ku)

いのちの力

朝の澄みわたった空を見上げると、トンビたちがくるくると大きな輪を描きながら空高くを目指して優雅に飛んでいます。気持ちいいだろうなぁと、少しうらやましくなります。

工房のまわりでは、キジが時折“コゥ、コゥ”とかすれたような声で鳴いています。とても警戒心が強いようで、車で走っているときに一瞬、雑木林の中などに見かけることはあるのですが、すぐに隠れてしまいます。

今、私達の小さな庭のなかは、植物や動物たちの“いのちの力”であふれています。それは、春の芽ぶきのときほどダイナミックではないのですが、毎朝、ささやかな発見に出会うことができ、私達を楽しませてくれます。

ブナの木
ブナの木

春のブナの葉は透き通るような薄緑色で、全体を細かな産毛に覆われていました。あの産毛に包まれたらさぞや気持ちがいい眠りにつけるだろうと空想していたのですが、それもつかの間、すっかり産毛は無くなってしまい、毎日少しずつその緑を強くしています。

もみじの葉っぱ
もみじの葉っぱ

もみじの葉っぱのまわりは紅色に縁どられ、ときに気持ちよさそうに、ときに迷惑そうに初夏の風に揺られています。

寝坊介けやき
寝坊介ケヤキ

ケヤキはうちの庭木のなかでは一番の寝坊介らしく、今頃になってようやく新芽が出始めました。さっそく毛虫たちの手荒い歓迎を受けています。

鳴子ゆり
鳴子ゆり

鳴子ゆりには小さな鈴のような白くてかわいらしい花がつきました。

さて、工房では三田での展示会でご注文いただいたスツールなどの製作と5月の展示会へ向けた新しい製作活動の両立で、少しあわただしい日々が続いています。天気も良いのでどこかへ出掛けたいような気にもなるのですが、我慢我慢。(Hi)