『夏が来た!!』展、始まりました。

8月11日土曜日、岡山県玉野市のギャラリー”サンコア”さんにて、今年も ”夏祭り企画展” が始まりました。今年は『夏が来た!!』がテーマです。

初日11日の夕方にはオープニングレセプションが開かれました。サンコアさんが用意してくださったり、各々が持ち寄ったりした料理に舌鼓を打ちながら、普段あまり交流することの無い分野の作家さん達と、とても楽しく刺激的な時間を過ごさせていただきました。

膨大な数の作品を展示してすばらしい空間をつくりあげてくださった実行委員の方々や、ギャラリーのオーナー、スタッフのみなさんにとても感謝しています。ありがとうございました。

「夏が来た!!」というお題は、日常的な道具としての家具を製作している私達にとってはかなり漠然としており、何をつくろうか2人とも相当悩みました(とても楽しくですが…)。

で、できあがったのがこちらです。

『夏器』(太田秀世)
『夏器』(太田秀世)

『夏器』(製作:太田秀世)。
”花器” をもじった題のとおり、お花を活けていただくための器です。叩いて凹ませた銅板を内側に沿わせてありますのでお水を張って頂けます。今回の展示では、中に小石やちりめん細工の金魚を入れて金魚鉢に見立てています。

材料は”楠”です。実は以前に薪用として頂いた伐木の中に、燃やしてしまうのはあまりにもったいないような立派な楠が何本か紛れ込んでいました。これらは薪にしてしまうのはやめて、コモノなどの材料にすることにしたのですが、その一部を使用しています。

先週のブログ”古いナタのお話し”に出てきたナタは、この鉢の外側を削り出すのに使ったのです。

外側や内側の荒削りにはチェーンソーも使っていましたが、部屋中に木くずが飛び回り、横で別の作業をしていた私も木くずまみれになりました。楠は樟脳を含んでいるので、工房に樟脳の香りが充満し、しばらくの間2人とも衣替え直後の服のようなにおいをプンプン漂わせておりました。

『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)
『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)

こちらは私の『なべしき (夏バージョン)』(製作:太田久美子)。
普段から桂材でなべしきを作っているのですが、今回は私が”夏”から連想することを図案にしてみました。”夏”といえば、太陽,入道雲,海,ひまわり,ゴーヤ,うなぎなどなど…。全12種類になりました。

全部並べるとこうなります。

全12種類のなべしき
全12種類のなべしき

展示スペースの関係で、一部を壁に掛けて展示していただいています。

岡山周辺をはじめNY在住のアーティストさんまで、計82人の作品が展示された空間は圧巻です。1人で2,3点出品されている方もいらっしゃるので、作品数は優に100点を超えていると思います。

昨年は”モビール”ということで、ある程度の形の制限があったのですが、今年はそれが無いためか、実にさまざまな”夏”がギャラリーいっぱいにはじけている、という印象です。絵,写真,焼き物,彫刻,映像など、そんなくくり方が無意味に思えるような”夏”の空間を是非ご堪能いただければと思います。

2012年サンコア夏祭り企画『夏が来た!!展』は、8月11日(土)~27日(月)です(14日と24日は定休日)。詳細はホームページよりご確認ください。

さて、話は変わりますが、倉敷市の児島という所に、私達が学生の頃からよく買いに行っていた、”甘月堂”という、いちご大福で有名な和菓子やさんがあります。

ほどよい量のあんをまとった大きくて甘酸っぱい苺が薄く柔らかいおもちに包まれたそのいちご大福は、”大福”というよりも、フルーティーな洋菓子に近い感覚で、2人とも大好きなのです。今でも、倉敷や玉野方面に出掛けて時間に余裕のあるときは必ず買いに行くのですが、今回も、もちろん行ってきました。

大好きな”甘月堂のいちご大福”
大好きな”甘月堂のいちご大福”

餡は基本の”赤あん(小豆の普通の餡)”や”白あん”のほか、”トマトあん”、”チョコあん”などがあり、中のフルーツも、いちごだけではなく、キウイ、バナナや季節限定のマスカットなど種類もいろいろです。

今回は、赤あん、トマトあんのほか、季節限定のマスカット入りを購入してきました。売り切れ御免、支店も通販もホームページも無いという小さなお店ですが、そんなところも気に入っている私達です。これからも機会を見付けてはあの”いちご大福”を買いに行くことでしょう。(Ku)

三田『手仕事展』(2012年)

この週末、今回で5回目となる、三田ほんまち交流館”縁”を会場とする『手仕事展』に参加してきました。

『手仕事展』の会場 古民家”縁”
『手仕事展』の会場 古民家”縁”

土曜日の朝、会場へ向かう途中、六甲山を越えるあたりで雪がちらつき、日曜日の朝は会場の庭のつくばいに氷が張るという、4月とは思えない冷え込みでしたが、おかげさまでお天気に恵まれ、大盛況のにぎわいになりました。

日曜日の朝、”つくばい”に張った氷
日曜日の朝、”つくばい”に張った氷

昨年までは春と秋の年2回、各1日のみの開催でしたが、今年から春のみ、2日間の会期へと変更になりました。会期が2日間となったためこれまでより落ち着いて展示やお客様への対応ができ、内容もより充実した会になったと思います。また、お客様もご来場しやすくなったようです。

今回は、染織,縫い物,焼き物,皮革,ガラス,お菓子,木工など総勢14名の手仕事作家が参加し、こだわりの作品が築100年をこえる古民家にところせましと並びました。

会場の様子
会場の様子

私達はワークショップを行う関係でいつもと同じ、入り口横の土間に展示スペースをいただきました。

展示の様子
展示の様子

スツールや小さめの長椅子,額,鏡,トレイ,ストラップ,木のボタンなどの定番の作品に加え、写真正面に見える、新作の小さな机と厨子を展示させていただきました。

マンションなどの居間に置いても違和感なくお使いいただけるよう、小さめでシンプルにデザインした厨子はご好評をいただきました。後日改めてホームページで詳細をご紹介させていただく予定です。

写真手前の踏み台のような椅子が今回のワークショップの作品です。接着剤を付けて座板に脚を差し込み、上からくさびを打ち込んで完成という内容でしたが、みなさん楽しんで頂けたようです。次回は何を作っていただくか、また1年かけて案を練っていきたいと思いますので、ご期待ください。

毎回楽しみにして下さっているお客様も増え、以前ご購入いただいた木のボタンを付けた服を着てご来場くださった方、良い具合にツヤが出てきたストラップを見せて下さる方など、とても楽しく充実した2日間でした。寒い中お出掛けくださったみなさま、本当にありがとうございました。

”日な菓子”さんのお菓子と・・・
”日な菓子”さんのお菓子と・・・

そしてこの会での私のもうひとつの楽しみが”日な菓子”さんの焼き菓子です。吟味された材料でしっかりと作られた様々なお菓子はどれもおいしそうで毎回選ぶのが大変です。

今回は、”れもんケイク”(ユニークなラッピングに一目で惹かれました),”チョコケーキ”(金柑の甘煮が入っているそうです。私はチョコレートケーキに目がありません。),”きなことピーカンナッツのクッキー”(きなことナッツも大好きです。),おすすめの”いちじくのシフォン”(もう食べてしまって写真にはありません。プチプチした食感とふわふわの生地の組み合わせが絶品でした。)を購入しました。もうひとつ、写真右側の”coffeeくるみ”は、やはり”日な菓子”さんのファンであるお客様がプレゼントして下さいました。コーヒータイムにいただくのがとても楽しみです。

そして、お菓子の手前にある”豆大福”。これは、ちりめん細工の作家さんの作品です。やわらかなお餅に薄く覆われた黒豆の感じがもう本物そっくり。下に付いている”経木”も布でできています。お皿にのせて”にらみ鯛”ならぬ”にらみ豆大福”にしたいと思います。

さて、次回の『手仕事展』は、来年4月の第1土・日曜日の予定です。元気な顔をまたたくさんのお客様にお見せできるよう、1年間がんばっていきたいと思いますので是非ご来場ください。(Ku)

倉敷~高松

この土曜、日曜日は、昨年の倉敷での展示会でご注文いただいた作品の納品に出掛けてきました。

岡山や倉敷は十分日帰りできる距離なのですが、倉敷でいつも利用しているホテルのポイントがたまり、3月末まで有効の1泊無料券をいただいていたので、それを利用してちょっとゆっくり出掛けてきました。

というのも、納品のほかにもうひとつ大事な用事があったのです。

昨年10月に、京都東寺の弘法市で”酒袋”を購入してきたことをこのブログでご報告しましたが、そのままの形では利用しにくいので、普段使えるよう、夫は小物入れに、私は手帳カバーにしたいと考えました。

以前、醤油袋でバックをつくって頂いた倉敷の方に製作をお願いしていたものが出来上がり、それを受け取りに行ったのです。

酒袋で作っていただいた小物入れと手帳カバー
酒袋で作っていただいた小物入れと手帳カバー
酒袋で作っていただいた小物入れと手帳カバーを開いたところ
酒袋で作っていただいた小物入れと手帳カバーを開いたところ

私は毎年決まった手帳を使うことにしていて、いっしょにバスの時刻表や薄い住所録、メモ用紙などをまとめて持ち歩きます。今までは使い古したビニールのカバーやクリップ、輪ゴムなどを使って一束にしていたのですが、見苦しいわ使いにくいわで…。使い勝手がよく、しかも持っていて心地の良い手帳カバーをずっと探していたのですが、コレといったものに巡り会えず、今回お願いをして作っていただいたのです。

小物入れは、もともとの繕いを活かし、木のボタンをループで留めるかたちにしていただきました。筆記具や手帳などを入れて使うつもりだそうです。

裏地や隅々の縫製に到るまでとても丁寧なお仕事で、手触りといい、革の縁取りの雰囲気といい、2人とももう大満足!!

酒袋は丈夫で、しかも使い込むほど柔らかくなり次第に革のような風合いになっていくということで、これからとても楽しみです。

フェリーで四国へ
フェリーで一路、高松へ

日曜日は倉敷から玉野へまわり、以前から展示会などでお世話になっているサンコアさんにご挨拶に寄らせていただいたのち、宇野港から四国フェリーで高松へ。

高松で用事を済ませた後、鳴門大橋を渡って淡路に帰ってきました。

淡路~明石海峡大橋~倉敷~玉野~鳴門大橋~淡路 という1周コース。納品させていただいたお客様にもたいへん喜んでいただけて、とても充実した2日間でした。あ、もちろんおいしい”讃岐うどん”も昼食に頂いてきました。(Ku)

たこフェリー

玉野での個展も無事に終わり、ちょっと一息ついた一週間でした。

さて、存続が危ぶまれていた、淡路島と明石を結ぶ「たこフェリー」が、11月15日をもって運行を休止することになりました。

他の航路が次々と廃止される中、便数を減らしたり、船を売却したりとさまざまな経営努力がなされ、淡路島で最後に残ったフェリーだったのですが、やはりこれ以上の存続は困難なのだそうです。

私たちも、時間や料金の関係で、どうしても高速道路を使うことが多くなっていましたので、あまり強いことを言えた立場ではないのですが、明石海峡大橋が出来るまでは、欠かせない重要な交通手段だったわけですし(昭和29年にカーフェリーが初就航したそうです)、今まで普通にそこにあったものが無くなってしまうのですから、とても寂しいです。

また、島を出る手段が橋のみになる、ということには不安も感じます。橋が通行止めになるような強風の中でも、たこフェリーは堂々と運行できていることが多いのです。

一応、「廃止」ではなく、「休止」ということですので、いつの日か、また航路が復活することを願っています。

そんなこともあり、3日の文化の日、たこフェリーに乗って、明石に「明石焼き」を食べに行ってきました。

岩屋入港
岩屋入港

岩屋港へ着くと、フェリーは出た直後でした。切符を買って次の便を待つこと約1時間、シゴセンジャーやたこのイラストが描かれた「あさかぜ丸」が入港してきました。

岩屋港出港
岩屋港出港

私たち同様、最後のお別れに乗船しようという人たちや車がたくさん乗り込み、出港です。

明石海峡大橋をこえて
明石海峡大橋をこえて

当日はたいへんおだやかな良い天気で、行き、帰りともデッキに出て、海の景色を楽しみました。船跡がとてもきれいに見えました。

明石港到着
明石港到着

明石に着くと、やはり大勢の乗客と車が乗船を待っていました。いつもこうだとよいのですが…。

明石では、魚の棚の「たこ磯」へ。

口の中をやけどしそうになりながら、おいしい明石焼きをハフハフとほおばりました。

本屋さんへ寄った後、帰路につきました。乗客が普段より多いためか、フェリーの発着は時刻表どおりではなく、「随時発着」となっていましたので、港近くの堤防に座って船が来るのを待ちました。

明石港入港
明石港入港

この便にも、デッキに人がぎっしり乗っていました。このあさかぜ丸は、運行休止に伴って、売却されることが決まっているそうなので、この姿を見ることができるのもあとわずかです。

岩屋到着
岩屋到着

約20分で岩屋港へ到着です。

次の、倉敷での展示会に向けて、よい気分転換にはなったのですが、これでこのフェリーの乗るのも最後だと思うと、ちょっと寂しい船旅でした。(Ku)

淡路で育った私にとって、たこフェリー(昔は明石フェリーと呼んでいました)はとても思い出深いものです。父の故郷が姫路ですので、子供の頃には正月とお盆の季節には必ず船に乗って島から出掛けていました。

時代の流れと共に、古い町並みが姿を消して、人の流れが変わってしまうのはしょうがないことなのかもしれませんが、思い出深い大切なものが一つ一つ幻のように消えいくのには、何か言いようのない寂しさを感じます。(Hi)