『太田秀世 木工展』が終わりました。

地元で初めて行った展示会『太田秀世 木工展』(サンシャインホール2階ギャラリー)が無事終了いたしました。

おかげさまでお天気にも恵まれ、また、新聞で取り上げていただいたこともあって、たいへんたくさんのお客様にご来場頂くことができました。

会場にお借りした”サンシャインホール”のギャラリーは、広く、シンプルな空間なので、ゆったりと見やすい展示ができたのではないかと思っています。また、工房か ら車で約15分程度と近いので、1tトラック+レガシーで2往復して作品を搬入し、展示数は今までで最も多くなりました。

サンシャインホールでの展示の様子-1
展示の様子-1

真ん中の広いスペースには「ダイニングテーブル」,「カウンターテーブル」,「おこた」などを配置し、壁に沿うように「ベンチ」,「厨子」,「戸棚」,「チェスト」、展示台の上には「花入れ」,「木のカトラリー」,「木のボタン」などのコモノ、壁面には「額」,「鏡」などを展示しました。

展示の様子-2(和室コーナー)
展示の様子-2(和室コーナー)

琉球畳を敷いて和室に見立てたコーナーには、「丸いお膳(待月膳)」や「折りたたみ式の衣桁」,「差し込み式の短冊額」,「四方棚」などを展示しました。

展示の様子-3
展示の様子-3

入り口付近には、”たも” と ”けやき”の1枚板も置かせていただきました。展示会で材料まで見て頂く機会は少ないので、興味深くご覧になられていたお客様も多かったようです。

ご近所の方々も来て下さり、9年目にしてやっと、”私達はこんなものを作っているんです。”とご説明することができ、ちょっとホッとしました。

今回初めて新聞の取材をしていただきました。木工を志したきっかけや、“ものづくり”に対する考え方、展示の見どころなどを、想像していたよりもとてもていねいに時間をかけて聴いて下さいました。

取材して頂いた内容は、5月26日付けの”神戸新聞”,”読売新聞”,”朝日新聞”の『淡路欄』に掲載して頂きました。2人ともなんだか変に緊張していてかなり滑稽な顔になっています(カッパ?,赤い風船?)。恥ずかしいので、ここでの紹介は控えさせていただきます。

開催までに時間はかかりましたが、島外で展示会等の経験を積み、展示できる作品数も充分に揃い、また、”シンプルなものをていねいに作る”という考え方がしっかり固まったこの時期に地元の皆さんにご挨拶できたことはとてもよかったと思います。

ご来場くださった皆様、ほんとうにありがとうございました。

今後とも”太田秀世家具工房”をよろしくお願いいたします。(Ku)

初めて地元で展示会を行います

このたび、初めて地元の淡路で展示会を行います。

会場は淡路市の文化施設 ”サンシャインホール”2階のギャラリー、会期はこの金曜日(25日)から翌週月曜日(28日)までの4日間です。
(詳細はホームページの『展示会案内』でご確認ください)

展示会のご案内-1
展示会のご案内-1
展示会のご案内-2
展示会のご案内-2

淡路に工房を構え、9年目に入りました。地元で認めて頂くにはまず、淡路島外である程度の実績を積まないと、という思いで、これまで岡山や神戸、三田などで個展の開催やグループ展への参加などを行ってきました。

”ていねいに,シンプルに”という信念もかたまり、そろそろ地元の方々に作品をお見せできるかな、ということで、このたびの展示会を行うことにいたしました。

広報活動が苦手なこともあり、地元で”太田秀世家具工房”のことをご存じの方はほとんどいらっしゃらないと思います。

工房と自宅が離れていることもあって、隣近所でも「家具を作っているというけれど、どんな物を作っているのだろう」とか、ひょっとしたら、「家の前に時々大きなトラックが駐まっていたり不規則に留守になったりするけれども、あの2人は何をして生活しているのだろう」と思われているかもしれません。

”地元にこんな家具を作っている者がいる”ということをたくさんの方に知って頂くとともに、ご近所のみなさんにも私達の仕事をご覧頂ければ、と考えています。

地元ということで、これまでの展示会とは違った緊張感があります。来て下さる方々の期待を裏切らないよう、精一杯の準備をしたいと思います。

会期中は2人で会場でお待ちしております。お気軽にお立ち寄りください。
(サンシャインホールへのアクセスはこちらをご覧ください。周辺の駐車場は2時間まで無料です。)

”ちょっとスツール”ご案内
画像をクリックしてください

5月は季節もよく、イベントも目白押しです。先日少しご紹介した『木工家ウイークNAGOYA・2012』の企画イベント「ちょっとスツール 和みタイムvol.2」も5月24日に始まります。先日、出品するスツールとカトラリーを発送しました。

こちらは6月10日まで、東急ハンズ名古屋店9階のイベントスペースで開催されます。私達は在廊いたしませんが、お近くにお出掛けの機会がございましたら、是非お立ち寄りください。

たくさん穫れています”スナップえんどう”
たくさん穫れています”スナップえんどう”

私が”早く実になれ~早く実になれ~”と唱えていたスナップえんどうはその後せっせと実を付けだし、今は毎日小さな鍋に半分ほどの収穫があります。上の写真は、前の日に穫らなかったのでお鍋にいっぱいになりました。

しっかり食べて、元気な姿で展示会でお会いしたいと思います。(Ku)

第12回ひめじクラフト・アートフェア

この週末は「ひめじクラフト・アートフェア」に出展してきました。

ちょっと冷え込んだもののお天気には恵まれ、とてもたくさんのお客様が来場してくださいました。

今年のテントの様子
今年のテントの様子

カトラリーやストラップなどのコモノはテントの前に出した机の上に、日射しを嫌う漆塗りの家具や額などはテントの中に展示しました。昨年よりも展示スペースが広くなり、ちょっとゆったり展示することができました。

野外での展示は雨や風への対策が必須です。今回は日除け,雨よけになる、テントのサイドに取り付けるシートを用意しました。太陽の動きにあわせて拡げたりたたんだりして日影を簡単に作ることができたのでとても重宝しました。

奥の展示台の様子
奥の展示台の様子

昨年から使用している壁面のある展示台には、小さな厨子,小棚,トレイ,箸箱,額,花入などを展示しました。

展示した椅子
展示した椅子

大きなものとしては、椅子,玄関用の長椅子,スツールを展示しました。もっと大きな家具も展示できるとよいのですが、屋外という環境と、限られたスペースの関係でなかなか難しいです。

コモノの展示
コモノの展示

コモノは定番の木のボタン,マグネット,ストラップ,カトラリーなどなど。

昨年の出展を覚えていて下さったお客様も多く、とてもうれしい再会も。

昨年お風呂のおもちゃを赤ちゃん用に購入してくださった方が「あの子がこんなに大きくなったの」と今年はその子供さんと手をつないで来られたり、昨年娘さんが購入されたストラップを気に入って下さったお母様が今年はご自分用にと来て下さったりなどなど。

そのほかにも本当にたくさんの楽しい出会いがありました。とにかく2日間、食事時間を除いてほとんど楽しいおしゃべりのし通しだったような気がします。

そして、お天気に恵まれた代償(?)として、2人とも見事に顔の左側だけが真っ赤という“妙ちきりん”な日焼けをしてしまいました(座っていた場所の関係で)。私は左の耳ばかりヒリヒリしています。ちょっと後がコワイです…。

ご来場頂いたみなさま、楽しい時間をありがとうございました。また、そのような場を用意してくださった実行委員の方々には本当に感謝しております。ありがとうございました。

来年もまたお会いできますように。(Ku)

カトラリーのおはなし

毎年この時期に名古屋に全国から木工家が集まり、様々な企画や展示が行われる『木工家ウィークNAGOYA』というイベントが開催されます。今年は初めて、その企画のひとつである「ちょっとスツール和みタイム vol.2」に参加させていただくことになりました。

いろいろな木工家の製作したスツールのほか、木のカトラリーや器を東急ハンズ名古屋店で展示販売する企画で、私達は”太田秀世家具工房”として、スツールとカトラリーを出品する予定です。

カトラリーは、端材を利用して私が製作しているのですが、手で一本一本削りだしていく作業は、コモノとはいえなかなか手間がかかり、在庫にあまり余裕がありません。今回の出品にあたって補充製作中ということもあり、代表的なものを紹介させていただきます。

ティスプーンとミニフォーク
ティスプーンとミニフォーク

オーソドックスな形のティースプーンとミニフォークです(長さ約12cm)。写真は蜜蝋を塗って仕上げたものですが、拭き漆で仕上げたものもあります。

スプーンをお買い上げ下さったあるお客様は、”半熟卵を食べるとき、金属のスプーンではどうしても金属味が気になる。これは半熟卵専用にしたい。”とのことでした。

バターナイフ
バターナイフ

バターナイフ(長さ約17cm)は少し変わった形をしています。もっとナイフに近い形のものが一般的だと思いますが、これにはちょっとしたエピソードが…。

以前はナイフ状のものを作っていたのですが、それをご使用下さっていたあるお客様から”折れてしまった”とのお話しが。

状況をお聞きしたところ、ビン入り発酵バターを愛用されており、普段は冷蔵庫から出して少し柔らかくなってからバターナイフを使われていたそうなのですが、その時はちょっと急いでいて、まだ固い状態のバターを無理にすくい出そうとされたのだそうです。バターナイフ自体に問題があったわけではなさそうでホッとしましたが、私の想像の中に”ビン入りバター”というものが全く無かったことに気づかされました。

そこで、ビン入りバターにも使いやすいよう、持ち手を大きくして握りやすくし、力を入れても折れにくいよう、硬く木目のつまったナラの木を使い、くびれの部分もある程度の太さを持たせた形にしてみました。前述のお客様にもご試用いただいたところ気に入って頂けたので、これを私の定番のバターナイフとしました。

一般的なバターケースには収容できないという難点はありますが、本来の目的である”バターが塗りやすいこと”を優先させたバターナイフです。

ジャムスプーン
ジャムスプーン

ジャムスプーン(長さ約17cm)は、あまり力がかからないので、すっきりスマートな形です。ビンの底までしっかりすくい取れるよう、先の形を工夫しました。

ミニスプーン
ミニスプーン

この、革ひもを巻いたちょっとおしゃれな雰囲気の短いスプーン(長さ約9cm)は、実は失敗の産物です。

以前、スマートな細身の食事用のスプーンを製作してみたことがあります。試用してみるととても食べにくく、食事用には使いたくない代物になってしまいました。でも形はとても気に入ったので、シュガースプーンとして使えないかな、と何本か作っていたところ、そのうちの1本が、元々割れが入っていたらしく、首のところで折れてしまいました。

せっかく手間をかけて削ったので薪にしてしまうのはもったいなく、家で何かに使えないかと考えましたが、なにせ柄がほとんど残っていません。そのままではとても持ちにくかったので、残った短い柄の部分に紐を巻いてみたところ、なんだかいい雰囲気に。家でコーヒー豆用に使ってみると、これがまた良い感じ。

で、残りの製作中のものも柄を短く切って、持ち手に革ひもを巻いて、コーヒー豆、茶葉、調味料などにお使い頂ける小さなスプーンにしました。

あるお客様は、「アクセサリーにも使えるね」と。それを聞いた私が”アクセサリーとして身につけておけば、デパ地下の試食にも使えるかも” なんて意地汚いことを考えたのはここだけの話。

小匙
小匙

これもちょっと小さめのスプーン”小匙”です(長さ約7cm)。写真は蜜蝋を塗って仕上げたものですが、拭き漆のものもあります。

もともとは紅茶葉を測る”ティーメジャースプーン”として作ったものです。初めはもっと持ち手が小さかったのですが、お客様の”お箸置きにもなるね”との声で持ち手を少し大きくして、お箸を置いても安定するよう改良したのが今の形です。持ち手を大きくすることで持ち心地も良くなりました。

ティーメジャースプーンとしてはもちろん、お薬味や香の物の器を兼ねたお箸置きとしてもご使用いただけます。

こんなふうに、お客様との会話など、ひとつひとつの作品にはそれぞれ忘れられない思い出があります。手づくりならではの醍醐味であり、同時に責任も感じます。大量生産ではできない、丁寧なものづくりを続けていかなければ、と思います。

ひめじクラフト・アートフェア2012
ひめじクラフト・アートフェア2012

ところで、いよいよ来週は、「第12回ひめじクラフト・アートフェア」です。今年で3回目の参加となります。今回は、定番の椅子やスツール,上で紹介したカトラリーなどのコモノのほか、小さめでシンプルな厨子など、クラフトフェア初出品の作品も展示する予定です。

121番ブースで2人でお待ちしておりますので、是非お立ち寄りください。

よいお天気になりますように!!(Ku)