台風17号と『たんばクラフト』

この週末は『アート・クラフトフェスティバルinたんば』でした。

発生当初は、近畿地方には影響のなさそうだった台風17号。その後、進路や速度を少しずつ変え、よりによって年に一度のクラフトフェスティバル当日に近畿に接近するらしいという気になる状況の中、出掛けることになりました。

搬入した金曜日は、これぞ”秋晴れ” というような、台風の接近を全く感じさせない快晴でした。

黄金の田んぼ
黄金色の田んぼ

丹波市周辺は酒米の『山田錦』の産地です。山田錦は普通の食用米よりも刈り取りが遅いとのことで、道すがら、そこここにまだ黄金色の田んぼが拡がっていました。

ラジオから流れるこぼれ話に大笑いしながらの約2時間のドライブ(1tトラックですが…)ののち、無事に会場に到着。汗ばむような暑さの中、昨年と同じ場所に出展用とキャンプ用のテントを設置しました。

1年ぶりのキャンプのディナーは唐揚げをトッピングしたカップラーメンとパン。そして豆菓子をつまみにビールを1杯。シメは淹れたての熱いコーヒー。外で食べると何でもおいしいものです。

そして1日目。

朝から曇り空。今にも降り出しそうな薄暗さになったかと思うと雲の切れ目から薄日が差したりと、一進一退をくり返しながらなんとか夕方まで雨に降られずに済みました。

展示品をしまい、テントの屋根を下げて夜の態勢が準備できた頃にとうとうポツポツと雨が降り出し、夜の交流会の間にはもう傘が無いと歩けないほどに…。

テントに戻り、シュラフに入ったところで、ななっ、なんと雨漏りが…。しかもひどくなる一方で、このままでは朝までにびしょ濡れになってしまう!と、トラックの荷台に掛けてきた”ブルーシート” をテントの上に掛けてなんとか急場をしのぎました。次回までに修理せねば…。

そして2日目。

雨の中での展示
雨の中での展示

前夜から降り続く雨。そこかしこに水溜まりも…。台風も順調に(?)近づいているとのことで、クラフトフェアも”13時まで” と短縮が決まりました。

さいわい”漆” は水に強く、拭き漆仕上げの椅子やローテーブルなどの家具は雨をそんなに気にせず展示できたのですが、オイル仕上げのものは濡れるとシミになりやすいので、私のコモノは一部のみを、雨の当たりにくい所にこぢんまりと並べさせて頂きました。

「こんな雨の中、お客様が来られるのかなあ」、と心配だったのですが、「1年間楽しみにしていて、昨日は仕事でどうしても来ることができなかった」とおっしゃる方などが、傘を差したりカッパを着込んだりして思いの外たくさん来てくださいました。せっかく雨の中お越し下さったお客様に、用意した作品のごく一部しかご覧頂けず、申し訳なく思っています。

傘やカッパは準備していったのですが、”長靴” まで考えが至らなかった私達。靴の中をズブズブにしながらなんとか荷造りし、帰路につきました。どしゃ降りの中工房に帰ってきたのですが、トラックから荷物を降ろしている間に雨はすっかりあがり、外に出るときれいな夕焼け空が拡がっていました。雨がいちばんひどいときに片付けをしたようです…。

この『たんばクラフト』は、よく雨にたたられるそうですが、それでも台風に当たるのは初めてとのことです。お天気ばかりはどうしようもないのですが、とても残念です。

そんな難しい状況の中、滞りなく運営をしてくださった実行委員の方々には感謝するばかりです。ほんとうにありがとうございました。

さて、『たんばクラフト』 への参加では、実はもうひとつ楽しみがあるのです。そう、”たんば” といえば、『栗』です。

立派な丹波栗
立派な丹波栗

昨年、途中の道の駅で買った丹波栗がとてもおいしくて、今年も買って帰ってきました。

秋の味覚
秋の味覚の大ご馳走

今日の夕ご飯は、新米で炊いた栗ごはんと、特売で買ったトレトレのサンマの塩焼き、そして工房の畑で採ってきた秋なすのお味噌汁です。秋の味覚の大ご馳走です。

残りの栗は、昨年同様”渋皮煮” にして、なが~く楽しむつもりです。

来年もたんばで栗が買えますように!そして、お天気に恵まれますように!!(Ku)

暑さ寒さも彼岸まで

今週になってすっかり涼しくなり、朝晩は肌寒いくらいです。つい先日までのあの暑苦しかった日々がなんだか夢のようです。

まさに、”暑さ寒さも彼岸まで” です。

”秋の日はつるべ落とし” も文字どおり。日もすっかり短くなり、ちょっとグズグズしているとすぐに真っ暗になってしまいます。

昔の人の知恵や知識には敬服するばかりです。理屈ではなく、日々の生活の中で肌で感じ、実際に経験して得た知識を分かりやすい言葉でたくさん伝えてもらっていることに感謝し、もっと大事にしなければ、と思うのです。

ところで、工房には何匹かのヤモリが住み着いています。時々思わぬ所に潜んでいてびっくりさせられます。

昨日も、昼の間に組み立てた戸棚にかけていたクランプを外そうとするとその陰に…。

こんなところにヤモリが…
こんなところにヤモリが…

体長7cmほどのまだ小さいヤモリですが、あるときは床の上を木くずまみれになりながら走り抜け、またあるときは小物を入れた箱の隅に、としばしば姿を見せています。

”ヤモリ” は「家守」に通じ、家を守る縁起のよい生き物とされています。これも昔からの言い伝えですから、あながちでたらめでもないのでしょう。

つぶらな瞳と丸っこい優しそうな手、ちょっとずんぐり系の親近感のわく体。よく見るととてもかわいらしい、愛嬌のある姿です。私達は”やもっちゃん” と呼んで仲良く共生しています。

アート・クラフトフェスティバルinたんば2012
アート・クラフトフェスティバルinたんば2012

さて、来週末は『アート・クラフトフェスティバルinたんば2012』です。昨年に引き続いて2回目の参加になります。

広い芝生広場と、それを囲むたくさんの木々。自然いっぱいのとても素敵な会場です。会場でキャンプ泊できることもあり、昨年の参加で2人ともとても気に入ってしまいました。

太田秀世,太田久美子の2名でテントを2つ並べて展示します。是非お気軽に声をかけてください。この会場では、あらかじめ展示場所が決まっていませんので、会場に掲示される簡単な位置図などを手がかりにおいでください。お待ちしています。

よいお天気になりますように!!(Ku)

『夏が来た!!』展、始まりました。

8月11日土曜日、岡山県玉野市のギャラリー”サンコア”さんにて、今年も ”夏祭り企画展” が始まりました。今年は『夏が来た!!』がテーマです。

初日11日の夕方にはオープニングレセプションが開かれました。サンコアさんが用意してくださったり、各々が持ち寄ったりした料理に舌鼓を打ちながら、普段あまり交流することの無い分野の作家さん達と、とても楽しく刺激的な時間を過ごさせていただきました。

膨大な数の作品を展示してすばらしい空間をつくりあげてくださった実行委員の方々や、ギャラリーのオーナー、スタッフのみなさんにとても感謝しています。ありがとうございました。

「夏が来た!!」というお題は、日常的な道具としての家具を製作している私達にとってはかなり漠然としており、何をつくろうか2人とも相当悩みました(とても楽しくですが…)。

で、できあがったのがこちらです。

『夏器』(太田秀世)
『夏器』(太田秀世)

『夏器』(製作:太田秀世)。
”花器” をもじった題のとおり、お花を活けていただくための器です。叩いて凹ませた銅板を内側に沿わせてありますのでお水を張って頂けます。今回の展示では、中に小石やちりめん細工の金魚を入れて金魚鉢に見立てています。

材料は”楠”です。実は以前に薪用として頂いた伐木の中に、燃やしてしまうのはあまりにもったいないような立派な楠が何本か紛れ込んでいました。これらは薪にしてしまうのはやめて、コモノなどの材料にすることにしたのですが、その一部を使用しています。

先週のブログ”古いナタのお話し”に出てきたナタは、この鉢の外側を削り出すのに使ったのです。

外側や内側の荒削りにはチェーンソーも使っていましたが、部屋中に木くずが飛び回り、横で別の作業をしていた私も木くずまみれになりました。楠は樟脳を含んでいるので、工房に樟脳の香りが充満し、しばらくの間2人とも衣替え直後の服のようなにおいをプンプン漂わせておりました。

『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)
『桂のなべしき 夏バージョン』(太田久美子)

こちらは私の『なべしき (夏バージョン)』(製作:太田久美子)。
普段から桂材でなべしきを作っているのですが、今回は私が”夏”から連想することを図案にしてみました。”夏”といえば、太陽,入道雲,海,ひまわり,ゴーヤ,うなぎなどなど…。全12種類になりました。

全部並べるとこうなります。

全12種類のなべしき
全12種類のなべしき

展示スペースの関係で、一部を壁に掛けて展示していただいています。

岡山周辺をはじめNY在住のアーティストさんまで、計82人の作品が展示された空間は圧巻です。1人で2,3点出品されている方もいらっしゃるので、作品数は優に100点を超えていると思います。

昨年は”モビール”ということで、ある程度の形の制限があったのですが、今年はそれが無いためか、実にさまざまな”夏”がギャラリーいっぱいにはじけている、という印象です。絵,写真,焼き物,彫刻,映像など、そんなくくり方が無意味に思えるような”夏”の空間を是非ご堪能いただければと思います。

2012年サンコア夏祭り企画『夏が来た!!展』は、8月11日(土)~27日(月)です(14日と24日は定休日)。詳細はホームページよりご確認ください。

さて、話は変わりますが、倉敷市の児島という所に、私達が学生の頃からよく買いに行っていた、”甘月堂”という、いちご大福で有名な和菓子やさんがあります。

ほどよい量のあんをまとった大きくて甘酸っぱい苺が薄く柔らかいおもちに包まれたそのいちご大福は、”大福”というよりも、フルーティーな洋菓子に近い感覚で、2人とも大好きなのです。今でも、倉敷や玉野方面に出掛けて時間に余裕のあるときは必ず買いに行くのですが、今回も、もちろん行ってきました。

大好きな”甘月堂のいちご大福”
大好きな”甘月堂のいちご大福”

餡は基本の”赤あん(小豆の普通の餡)”や”白あん”のほか、”トマトあん”、”チョコあん”などがあり、中のフルーツも、いちごだけではなく、キウイ、バナナや季節限定のマスカットなど種類もいろいろです。

今回は、赤あん、トマトあんのほか、季節限定のマスカット入りを購入してきました。売り切れ御免、支店も通販もホームページも無いという小さなお店ですが、そんなところも気に入っている私達です。これからも機会を見付けてはあの”いちご大福”を買いに行くことでしょう。(Ku)

今年も参加します。「サンコア夏祭り企画」

九州ではたいへんな大雨が続いており、テレビに映る状況にためいきをつきながら、早く収まってくれることを祈るばかりです。

もう梅雨明けかと思った週明けからうって変わり、水曜日からは淡路でも大雨続きでした。特に木曜日は台風なみの強風も吹き、畑のキュウリが支柱ごと倒れて茎が何本か折れてしまいました。

あんな強い風雨を、庭の虫たちはどうやり過ごすのでしょうか?

しばらく前から、体長15cmほどのナナフシが庭の ”ホップ(その名はなんと、「スーパードライ」!)” に住み着いているのですが、無事に風雨を乗り切ったようで、金曜日にはじっと茎になりきっている姿を見付けました。キリギリスやバッタたちも何事もなかったかのように跳びまわっており、結局、自然そのままの力にかなうものはないのだなあ、と思うのです。

ホップに住み着いているナナフシ
ホップに住み着いているナナフシ(どこにいるか分かりますか?)

さて、昨年の”モビール展”で初めて参加させていただいた岡山県玉野市のギャラリー『サンコア』さんの「夏祭り企画展」に今年も出品させていただくことになりました。

今年のお題は「夏が来た!!」です。

この言葉からイメージして制作した作品を展示・販売して頂くのですが、昨年の”モビール”とは異なり、作品の範囲は無限大ともいえ、いわゆる”クラフト作家”の私達にとっては、妄想こそふくらむものの、なかなか実際の形に現すのが難しいお題でした(でも普段と違う思考はとても楽しいものです)。

どうにか構想をまとめ、現在2人とも鋭意制作中です。詳細は展示会まで秘密ですが、商売柄やはり実用的なものとなりました。

ただ、ふだんの製作では使わないような道具も登場しています。何ができるか、お楽しみに!

「夏が来た!!展」
「夏が来た!!展」

参加者は、岡山県内外はもとより、ニューヨーク在住のアーティストさんまで、総勢82名とのこと。どんな展示空間ができあがるのか、とても楽しみです。

2012年サンコア夏祭り企画『夏が来た!!展』は、8月11日(土)~27日(月)です(14日と24日は定休日)。ギャラリーの場所や時間等の詳細はホームページよりご確認ください。

私達はオープニングレセプションがある初日11日の午後のみの在廊になりますが、是非 ”” を満喫しにお気軽にお立ち寄りください。(Ku)

『太田秀世 木工展』が終わりました。

地元で初めて行った展示会『太田秀世 木工展』(サンシャインホール2階ギャラリー)が無事終了いたしました。

おかげさまでお天気にも恵まれ、また、新聞で取り上げていただいたこともあって、たいへんたくさんのお客様にご来場頂くことができました。

会場にお借りした”サンシャインホール”のギャラリーは、広く、シンプルな空間なので、ゆったりと見やすい展示ができたのではないかと思っています。また、工房か ら車で約15分程度と近いので、1tトラック+レガシーで2往復して作品を搬入し、展示数は今までで最も多くなりました。

サンシャインホールでの展示の様子-1
展示の様子-1

真ん中の広いスペースには「ダイニングテーブル」,「カウンターテーブル」,「おこた」などを配置し、壁に沿うように「ベンチ」,「厨子」,「戸棚」,「チェスト」、展示台の上には「花入れ」,「木のカトラリー」,「木のボタン」などのコモノ、壁面には「額」,「鏡」などを展示しました。

展示の様子-2(和室コーナー)
展示の様子-2(和室コーナー)

琉球畳を敷いて和室に見立てたコーナーには、「丸いお膳(待月膳)」や「折りたたみ式の衣桁」,「差し込み式の短冊額」,「四方棚」などを展示しました。

展示の様子-3
展示の様子-3

入り口付近には、”たも” と ”けやき”の1枚板も置かせていただきました。展示会で材料まで見て頂く機会は少ないので、興味深くご覧になられていたお客様も多かったようです。

ご近所の方々も来て下さり、9年目にしてやっと、”私達はこんなものを作っているんです。”とご説明することができ、ちょっとホッとしました。

今回初めて新聞の取材をしていただきました。木工を志したきっかけや、“ものづくり”に対する考え方、展示の見どころなどを、想像していたよりもとてもていねいに時間をかけて聴いて下さいました。

取材して頂いた内容は、5月26日付けの”神戸新聞”,”読売新聞”,”朝日新聞”の『淡路欄』に掲載して頂きました。2人ともなんだか変に緊張していてかなり滑稽な顔になっています(カッパ?,赤い風船?)。恥ずかしいので、ここでの紹介は控えさせていただきます。

開催までに時間はかかりましたが、島外で展示会等の経験を積み、展示できる作品数も充分に揃い、また、”シンプルなものをていねいに作る”という考え方がしっかり固まったこの時期に地元の皆さんにご挨拶できたことはとてもよかったと思います。

ご来場くださった皆様、ほんとうにありがとうございました。

今後とも”太田秀世家具工房”をよろしくお願いいたします。(Ku)

初めて地元で展示会を行います

このたび、初めて地元の淡路で展示会を行います。

会場は淡路市の文化施設 ”サンシャインホール”2階のギャラリー、会期はこの金曜日(25日)から翌週月曜日(28日)までの4日間です。
(詳細はホームページの『展示会案内』でご確認ください)

展示会のご案内-1
展示会のご案内-1
展示会のご案内-2
展示会のご案内-2

淡路に工房を構え、9年目に入りました。地元で認めて頂くにはまず、淡路島外である程度の実績を積まないと、という思いで、これまで岡山や神戸、三田などで個展の開催やグループ展への参加などを行ってきました。

”ていねいに,シンプルに”という信念もかたまり、そろそろ地元の方々に作品をお見せできるかな、ということで、このたびの展示会を行うことにいたしました。

広報活動が苦手なこともあり、地元で”太田秀世家具工房”のことをご存じの方はほとんどいらっしゃらないと思います。

工房と自宅が離れていることもあって、隣近所でも「家具を作っているというけれど、どんな物を作っているのだろう」とか、ひょっとしたら、「家の前に時々大きなトラックが駐まっていたり不規則に留守になったりするけれども、あの2人は何をして生活しているのだろう」と思われているかもしれません。

”地元にこんな家具を作っている者がいる”ということをたくさんの方に知って頂くとともに、ご近所のみなさんにも私達の仕事をご覧頂ければ、と考えています。

地元ということで、これまでの展示会とは違った緊張感があります。来て下さる方々の期待を裏切らないよう、精一杯の準備をしたいと思います。

会期中は2人で会場でお待ちしております。お気軽にお立ち寄りください。
(サンシャインホールへのアクセスはこちらをご覧ください。周辺の駐車場は2時間まで無料です。)

”ちょっとスツール”ご案内
画像をクリックしてください

5月は季節もよく、イベントも目白押しです。先日少しご紹介した『木工家ウイークNAGOYA・2012』の企画イベント「ちょっとスツール 和みタイムvol.2」も5月24日に始まります。先日、出品するスツールとカトラリーを発送しました。

こちらは6月10日まで、東急ハンズ名古屋店9階のイベントスペースで開催されます。私達は在廊いたしませんが、お近くにお出掛けの機会がございましたら、是非お立ち寄りください。

たくさん穫れています”スナップえんどう”
たくさん穫れています”スナップえんどう”

私が”早く実になれ~早く実になれ~”と唱えていたスナップえんどうはその後せっせと実を付けだし、今は毎日小さな鍋に半分ほどの収穫があります。上の写真は、前の日に穫らなかったのでお鍋にいっぱいになりました。

しっかり食べて、元気な姿で展示会でお会いしたいと思います。(Ku)