シイタケのはなし

4月に入りました。

日に日に陽差しも柔らかくなってくるとともに、ようやく桜のつぼみも目に見えてふくらみ始め、甲子園では高校野球が大詰めを迎えています。

特に高校野球ファンという訳ではないのですが、この季節になると、ついつい作業場のラジオのダイヤルをNHKに合わせ、聴くとはなしに聴いています。

ラジオの実況中継では、アナウンサーの言葉や球場の歓声などから状況を想像することになるのですが、少し大げさで過熱気味のアナウンサーと、常に冷静で落ち着いた解説者のやりとりが何ともうまくかみ合っていて、聴き心地のよいものになっています。特に、試合終了後、その試合を振り返る解説者のコメントには、勝者敗者を問わず、球児達の良かったところに光を当てようとする暖かい姿勢が強く感じられ、とても気持ちの良いものです。

ただ、状況が緊迫してくると、アナウンサーの絶叫などにより状況が上手く伝わらず、ついつい作業している手も止まりがちになり、やきもき、ドキドキしながら聴き耳を立てる、ということになってしまいます。

ラジオの迫力ある中継から、火の出るような強烈な打球を想像したり、はたまた、すごいクロスプレーを想像したりするのですが、夜のニュース映像では思ったほどではなくてちょっと拍子抜けすることもままあるのですが、それはご愛敬と言うことで、何にしても高校生が一生懸命白球を追いかけている姿はすがすがしくて、気持ちのいいものです。

今年は“21世紀枠”というので淡路島から洲本高校が出場しました。淡路島からの出場は、ものごごろ付いて以来、春夏を通じて初めてのことなのでやはり注目して応援していたのですが、残念ながら接戦の末、1回戦で鳴門高校に惜しくも負けてしまいました。

ただ、いくら抽選の結果とはいえ、甲子園までいって、よりによって1回戦から鳴門海峡を挟んで目と鼻の先にある“お隣同士”で対戦しなくてもいいのに…と少々複雑な気持ちになってしまいました。

シイタケの種(バーゲンセール!!)
シイタケの種(セール品)

植えもしないのにシイタケがどんどん生えてくることに気をよくした私達は、自分たちでもシイタケを植えてみようということになりました。

植え付けに使う木は、本来は薪にする予定だったもののなかから適当な太さ(直径30センチ前後)のもの(カシの木)を選び、70センチほどに玉切りして使うことにして、菌は近くのホームセンターで都合良く“売り尽くしセール”になっていたものを買い求めました。

カシの木に穴を開けて…
カシの木に穴を開けて…
シイタケの菌
シイタケの菌

手引書を片手に、まずドリルで穴を開け、ダボに植え付けられた状態の菌をひとつひとつ、丁寧に打ち込んでいきます。

このあと金槌で菌を打ち込みます
このあと金槌で菌を打ち込みます
あとはたわわに実るのを待つばかり…
あとはたわわに実るのを待つばかり?

菌を植え付けた木を“ほだ木”と呼ぶのですが、それを井形に組んで適切に管理すると、来年の秋から収穫出来るということです。“ほだ木”を置いておく場所についてはいろいろと条件があるようなのですが、あまり難しいことは考えずに、今まで勝手にポコポコ生えていた所に置いておくことにしました。“ほだ木”にうまくシイタケが生え始めると、そのまま放っておいても4~5年は収穫出来るということなので、ずぼらな私達には何ともぴったりの、とても有り難い“恵み”です。

たわわに実りますように…
たわわに実りますように…

願わくば、うまく生え始め、私達の家計の救世主になりますように…

さて、今週末(4/7,8)は三田にてグループ展の予定です。今回は、シンプルで懐かしい形のスツール、新たに製作した小さな厨子、小机、など比較的小さな家具と、家内のつくるカトラリー、ストラップ、ボタンなどのコモノを展示、販売する予定です。是非お越し頂きお手にとってご覧下さい。心よりお待ちしております。(Hi)

春が来た~2012~

暖かくなったと思えば急に冷え込んだり。週の初めには雪が舞ったりもしましたが、工房の庭はどんどん春の装いに変わりつつあります。

”おきな草”の新芽
”おきな草”の新芽

”おきな草”の新芽はふわふわの綿毛をまとっていてとても柔らかそうです。

つぼみの付いた”アマナ”
つぼみの付いた”アマナ”

チューリップに似た花を咲かせる”アマナ”は、もう根元から花芽が顔を出しています。

”ブルーベリー”の新芽
”ブルーベリー”の新芽

”ブルーベリー”は新芽を膨らませ、準備万端といったところです。昨年までは1本しか植えておらず、あまり実をつけなかったので、秋にもう1本若木を近くに植えました。実がたくさん成るとよいのですが…。

このほかにも、あじさい,桔梗,ホタルブクロ,ヤマブキ,ヒメウツギ,フジバカマ,一才桜などなど、いろいろな植物が芽を出し始めています。

”春”といえば、信州で迎えた春を思い出します。

私たちが4年ほど住んだ長野県小諸市は、雪は比較的少ない地域ですが、冬は-15℃くらいまで冷え込みます。雪で真っ白になった浅間連山と氷に覆われた千曲川。道ばたや木々の根元には雪が溶けずに残り、洗濯物を干せば凍ってしまうような寒い日が3月いっぱいは続きます。

そして、春。

待ち焦がれていたように、梅,桃,桜がいっせいに花を咲かせます。それと同時に、心の底からわき上がるような喜びを感じるのです。理屈ではなく、とにかく嬉しいのです。踊り出したいくらいに…。あんな気持ちになったのは初めてのことでした。

信州から離れ、あのときのような”春の喜び”を感じることはなくなってしまいましたが、春が来る度にあの感覚を懐かしく思い出すのです。

薪に生えたシイタケ
薪に生えたシイタケ

そして、いつもの”薪に生えるシイタケ”。今年はなんだかたくさん生えてきています。ナメクジやダンゴムシに食べられないうちに収穫せねば…。(Ku)

愛車はレガシィ

朝日新聞朝刊の天声人語から、今日は二十四節気のひとつ、『雨水』だそうです。『雪が雨に変わる候』とのことなのですが、淡路では昨日からの雪が日影にうっすらと残り、まだまだ冬の様相です。

寒さに負けぬ、“つくし”のこ
寒さに負けぬ、“つくし”のこ

いつまでこの寒さが続くのかしら…と心配していたところ、今朝、思いがけず、自宅の裏の陽だまりに“つくし”をみつけました。春はちゃんとすぐそこまで来ているようで、ほっとひと安心です。

先日愛車の点検通知が届きました。我が家の車は銀色の『レガシィ』です。まだ岡山で会社勤めをしているときに買ったもので、年式は平成8年、16年間のつきあいになります。走行距離ももうすぐ200,000㎞。車の運転が全く苦にならない私たち夫婦が、日本列島北から南、西から東へと車中泊を重ねながら旅をして回った思い出のいっぱい詰まった愛車です。

まだまだ走れます。
まだまだ走れます。

乗り始めたときにはこんなに長いつきあいになるとは思ってもみなかったのですが、走っていてもストレスを感じないし、荷物もたくさん積める。適度に丸みを帯びた形や特徴的なテールランプもとても気に入っていて…

テールランプも気に入ってます。
テールランプも気に入ってます。

それにまだまだ十分に走れるのに乗り換えるなんてもったいない。

幸いにして今までに大きな事故に巻き込まれたことは無いのですが、大小、さすがにあちらこちらと故障はありました。

大きなモノでは、ラジエータータンクの亀裂。走行中にボンネットの中から霧が吹き出したかと思うと水温計がみるみる振り切れてしまい、何が起こったのか全く分からず頭の中が真っ白に。いつもお世話になっている整備工場の方に連絡して引き取りに来て頂き、事なきを得たのですが、高速走行中だとエンジンが焼き付いて間違いなく廃車になっていたそうです。

さらに、燃料ポンプのモーターの故障(走行中に急に元気が無くなり、エンジンが止まってしまいました)、マフラーの亀裂(室内に何となく排気ガスの臭いが…今までに2度ありました)、コンピューターチップの不具合などなど…。幸い近所で腕が良くてとても親切な整備士さんと知り合えたので、いつも助けていただいてます。

私たちの懐事情もよく理解してくださっていて、交換部品はほとんど廃車からの“パーツ取り”で済ませてくれます。この前のエコカー減税の時にも、同じ型のレガシーで程度の良いものが廃車になるとのことで声をかけてくださり、部品の“パーツ取り”をしていただいたところです。

新車の時は小さなキズも気になったものですが、さすがに16年も乗っているとあちらこちらと愛嬌のように“えくぼ”が増え、塗装もところどころで薄くなってきましたが、エンジンと足回りはまだまだ元気です。

安易な買い換えをすすめる華やかな“エコ”ブーム。

“モノを大切に、長く使う” そんな形の貢献もあると思うのですが…(Hi)

春を告げる花

寒い日が続いています。

工房内では薪ストーブが燃えさかり、庭のメダカの火鉢はこのとおりカチンコチンです(氷の下でメダカはじ~っと春を待っています)。

氷の張ったメダカの火鉢
氷の張ったメダカの火鉢

あまりの寒さに私たちもあまり庭に出ない日が続いていましたが、火鉢の向こう側の水仙の陰で、今年もスノードロップが元気につぼみを膨らませているのに昨日気が付きました。

つぼみをつけた"スノードロップ"
つぼみをつけた”スノードロップ”

夏の間は地上部が全く無くなってしまうため、ついそこに植えてあるのを忘れてしまうのですが、冬の終わりが近づくとしっかり芽を出してきれいな花を咲かせてくれます。

”春を告げる花”だとか。

これから少しずついろいろな春の足音が聞こえてくるのでしょう。

2基目が完成した風車
2基目が完成した風車

さて、工房の近くで始まった風車の建設は、先日2基目が出来上がり、3基目の工事が始まりました。クレーンが立っているのが3基目の場所です。

夕焼けの中に立つ風車
夕焼けの中に立つ風車

昨日の夕方、きれいな夕焼けに風車のシルエットが浮かび上がっていました。

とても大きいのに、細く長い羽根とそれを支える一本の柱だけという非常にシンプルなデザインの風車は建造物としてはとてもきれいです。風景の邪魔になることもなく、これで音や影などの影響が無ければ言うことないのですが…(まだ稼働されていないので、風が吹いても羽根は回っていません)。

『民藝』2月号
『民藝』2月号

12月11日のブログで「平成23年度民藝館展」での入選をご報告させて頂いた”拭漆戸棚”を、日本民藝協会の機関誌である『民藝』2月号で紹介していただきました。

掲載された”戸棚”
掲載された”戸棚”

”シンプルに、ていねいに”を心掛けている私たちにとって、「さっぱりとしていて良い。」という内容の、とても嬉しい講評もいただきました。これを励みに今後もしっかりと仕事に取り組んでいきたいと思います。

一般の書店では扱われておりませんが、各地の民藝館,工藝館、民芸店などでお手に取っていただけますので、機会がありましたら是非ご覧になってください。(Ku)

子犬のレオくん

以前お納めした棚の引き出しの調整や、新しい文机の納品など、いくつかの用事を兼ねて先日姫路へ行ってきました。その際、少し時間に余裕を持たせて姫路に住んでいる叔父夫婦のところへ寄ってきました。

叔父夫婦には、今年の5月の姫路クラフトのときに泊めてもらったりしていつも何かとお世話になっているのですが、今回訪ねてみると何ともかわいらしい小さな白い犬がいるではありませんか。

実は叔父夫婦は以前から”キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル”という種類の小型犬(名前はキューちゃん)を飼っていたのですが、そのキューちゃんが老衰で急に死んでしまったので、最近新しく家族の仲間入りをしたというのです。

今度の新入りくんの名前は”レオ君”。あのジャングル大帝の小さい頃にとってもよく似ている(ような気がする)ということに由来しているのですが、生後2ヶ月のチワワとマルチーズのミックス犬です。

少し長めの真っ白な体毛に、くりくりっとしたつぶらな瞳が輝き、とにかく“やんちゃ”で片時もじっとしていません。おこたの布団の上を、まるで雪原を飛び跳ねるようにして走りまわったり、私たちの手や服の袖などにかじり付き、とても楽しそうにじゃれ回るのです。

歯の先がとがっているので小さな口でもかまれたあとはチクチクと痛みますが、でもとにかく元気で、体全体で『生きていることが楽しくてしょうがない!』というオーラを発散させています。小さな命の、その生命力の輝きに勇気づけられ、私たちももっともっと前を向いてがんばらねば、という思いを強く感じた出来事でした。このまますくすくと育っていってね。

それから、初めは真っ白だったのに、私たちとさんざん遊び回ったあとには少し黒っぽく汚れてしまいました。コレって、私たちの手が汚れていたってことですね…

ごめんなさいね…(Hi)

メリークリスマス
メリークリスマス!!

今日はクリスマスですね。”大荒れの天候”との予報でしたがここ淡路島では昨日少し雪が舞い、強風が吹き荒れてはいるものの晴れ間ものぞくお天気でした。

”もりのこ”に綿でひげを付け、赤い帽子をかぶせてみました。サンタクロースみたいでしょ。

メリークリスマス!!(Ku)

閑谷学校

今週は、先月の倉敷での個展の帰りに立ち寄った『閑谷学校』の写真を何枚かご紹介します。

『閑谷学校』校門
『閑谷学校』校門

『閑谷学校』は岡山県備前市にある史跡で、岡山藩主池田光政によって建てられた庶民のための学校です。当時のままの立派な木造建築がいくつも残っており、私たちにとってとても興味深い場所です。

楷の木
楷の木

『聖廟』の前の大きな2本の”楷の木”は、中国の孔子廟の楷の木に由来しており、秋には見事な紅葉が見られるそうです。閑谷学校に立寄るのはいつも秋の個展が終わってからなので、楷の木の紅葉の見頃は過ぎてしまっています。その分、観光客が少なくて落ち着いてはいます。

今回、楷の木の下に実が落ちていたのでいくつか拾わせて頂きました。芽が出るとよいのですが…。

講堂
講堂

国宝にも指定されている大きな『講堂』は、磨き抜かれた床に大きな窓(”花頭窓”というそうです)から入る外の光が見事に反射しています。立派な柱や精巧に細工された窓枠、目立っているわけではないのに存在感のある釘隠などの金具類…。作った人達やここで学問にいそしんだ人々の真摯な気持ちが伝わってくるような空間です。

この講堂は普段は入室禁止ですが、月に1回論語の講座が開かれているとのこと。機会があったらいつか参加してみたいです。

石塀と紅葉
石塀と紅葉

閑谷学校は、柔らかな丸みを帯びた外形をもつ石の塀で囲まれています(全長765mもあるそうです)。ピッタリと組まれた石が形作る独特の曲線は決して威圧的ではなく、神聖な”学問の場”として敷地を外界と区切っているような印象を受けます。

写真は、現在は資料館などとなっている寄宿舎跡に続く小道です。モミジの紅葉は見頃は少々過ぎていましたが、まだまだ十分にきれいでした。

自然の中に溶け込むような空間なので、季節によって印象も大きく変わると思います。また違う季節にも何度でも訪れてみたい場所です。

食器棚(展示会)
食器棚(展示会)

先日、ご注文頂いていた”食器棚”を納品させていただきました。1ヶ月ほど前に完成していたのですが、無理をお願いして先月の個展で展示させていただいたものです。

納品した食器棚
納品した食器棚

普段使い用の食器を収納する小さめの食器棚です。上に現在ご使用の調味料入れを置きたいとのご要望で、身長に合わせて上の物を取りやすい高さにしました。長く使っていただけますよう。(Ku)