座卓の製作 -その1-

今週と来週の2回に分けて、先日納品した座卓についてのお話しをさせていただきたいと思います。

半年ほど前、お世話になっている岡山のギャラリーのオーナーさんを通じて、座卓のリフォームのご相談をいただきました。

『 現在座卓として使っている板がとても厚くて重く、大人4人がかりでないと動かすことができない。重すぎて不便なので、厚みを半分の2枚の板にして、1枚は再び座卓に、もう1枚はテーブルにしたい。』 というお話しでした。

テーブルは娘さんご夫婦の新居用で、脚は鉄で、というご希望です。

鉄の脚は私達ではできないので、ギャラリーのオーナーさんに、鉄を扱い、ギャラリーの内装などもされる現代アートの作家さんを紹介していただき、岡山のお客様のお宅へ伺いました。

お客様のお宅で待っていたのは、長さ180cm、巾90cm、厚さ約13cmの立派な ”肥松” の一枚板でした。

”肥松” は、松ヤニをたっぷりと含んだ松材で、水に沈むものもあるようですから、比重を 1g/cm^3 として、ざっと 200kg…。 重いはずです。

芯を含んだ部分で、大きな割れや傷みもあったため、デザイン等の詳細については、製材をして、板の状態を確認してから改めてお話しをすることになり、お客様方にも力をお借りして板をトラックに積み込み、淡路へ持ち帰りました。

製材前の状態(表)
製材前の状態(表)

製材前にまず、板の状態を確認しました。

無塗装のようですが、使い込まれた表側はとてもよい色つやになっていました。

時間をかけて松ヤニをためこんだ巨木の、根に近い部分のみが ”肥松” になるそうで、とても貴重な材料です。

製材前の状態(裏)
製材前の状態(裏)

表にも割れ目が見られますが、裏側で割れが長く拡がり、割れの周囲には朽ちているような傷みも見られます。

製材前の状態(割れの様子)
製材前の状態(割れの様子)

割れはかなり深く、さらに割れの周囲には、指でつつくとボロボロ崩れてしまうような傷みが広く拡がっていることが分かりました。

半分に割くことで、バラバラの4枚の板になってしまう可能性もあったため、お客様に状態をご報告したうえで、製材を行うことになりました。

製材所で吊られて運搬中
製材所で吊られて移動中

製材は近くの製材所にお願いしました。

平面出し
平面出し

大きな大きな帯鋸にセットされた板。

まず、反っている板を平らにするため、両面を薄くそぎ落としました。

2枚に切断中
2枚に切断中

そして、半分に。

まるで羊羹かチーズを切っているように、板が真っ直ぐ切れていきました。

さいわい、懸念していたようにバラバラになることはなく、無事に2枚の板にすることができました。

製材された板(座卓用)
製材された板(座卓用)

座卓については、「できるだけ元の形のままで」、というご希望があったため、比較的状態の良い方を使うことにしました。

製材された板(テーブル用)
製材された板(テーブル用)

テーブルについては、当初は私達のところで天板を仕上げ、別に作っていただいた鉄の脚と組み合わせる予定でしたが、板の状態も踏まえ、脚と天板を一緒に製作した方が、まとまりのあるよいものになるのではないかと考え、先の、鉄を扱う作家さん(鉄だけでなく、木やガラスなど、様々な素材を扱われるそうです)におまかせすることになりました。

先日、座卓の納品の際に出来上がったテーブルの写真を見せていただきましたが、木の大きなキズも活かして鉄と組み合わせた素敵なテーブルに仕上がっていました。

来週は、このあと、完成・納品までのご報告を予定しております。(Ku)