『引出棚』の納品

今回は、2週間ほど前に納品しました 『引出棚』 の紹介をさせて頂きたいと思います。

6月の淡路での展示会においでくださったお客様から、以前古い家を取り壊した際に保存しておかれた床の間の ”床板” と、”違い棚の棚板” を使って、息子さんが新築される家で使うことのできる何かを、というご相談をいただきました。

実際にご使用になる息子さんご夫婦のご希望で、床の間に置く小ぶりな 『引出棚』 を作らせていただくことになりました。

材料をお預かりして状態を確認したところ、”床板” はけやき材,”棚板” は栃材であることが分かりました。

”床板” のけやき材は大きかったのですが、反りのため、棚の側板としては十分な厚みをとることが出来なかったので、このけやき材は引出の鏡板として用い、側板は厚みのしっかりした ”棚板” の栃材を使って製作することになりました。

引出棚-1
引出棚(幅680×奥行300×高さ300mm)

側板に使用した”棚板” だった栃材は、もとの塗装を削り落とすときれいな木目が現れました。

引出のつまみはアクセントにウォールナットで製作しました。

新築の床の間に収まった『引出棚』
新築の床の間に収まった『引出棚』

新しい畳と木の香りでいっぱいの新築の家の床の間に、昔の家の床の間の材料で作られた棚が無事に収まりました。

結婚祝いではないのですが、マザーグースの幸せのおまじない「なにかひとつ古いもの」 と、「なにかひとつ新しいもの」 を兼ねた素敵な贈り物のお手伝いができてとても嬉しく思っています。(Ku)

大きな棚の納品

今週はもう1件、7月に納品しました大きな棚の紹介をさせていただきたいと思います。

以前、飾り棚を作らせていただいた倉敷のお客様から、収納棚のご相談をいただきました。

以前お納めした”飾り棚”
以前お納めした”飾り棚”

この飾り棚が置かれている和室縁側の奥(写真右上方)に、ご主人が収集されている民芸品を整理して納める大きな棚をご希望とのこと。

ご相談の結果、以前の棚と雰囲気を合わせたデザイン、材料も同じ樹種の組み合わせ(柱:くり,棚板:なら)で、巾は縁側いっぱい、高さは欄間の上の長押に合わせた、巾1,000mm×奥行750mm×高さ1,870mm の大きな棚を作らせていただくことになりました。

大きな収納棚
大きな収納棚

私達の身長よりも高い大きな棚でしたので、工房での組立時や、納品の際の取り回しにはかなり気を使いましたが、それだけに予定の場所に無事ぴったりと収まった時にはホッとしました。

お客様にも喜んでいただけましたので、きっと今頃は大切な民芸品でいっぱいになっているのではないかと思います。

さて、今年3月に展示会をさせて頂いたご縁で、南あわじ市の手作り雑貨・生活雑貨のお店 『そらみどう 』 さんで、私の製作しているコモノを販売していただくことになりました。

7月より、もりのこマグネット,ストラップ,なべしき,モビールなどを店頭に置いて頂いております(詳細は 『そらみどう』 さんの7月31日のブログ(外部リンク)をご参照ください)。

他にも、焼き物やアクセサリー、革のものや布小物などの様々な手作り品や、オーナーさんこだわりの文具など、楽しいものがお店いっぱいにあふれています。

喫茶コーナーもあり、おいしいコーヒーとオーナーさん手作りの濃厚なチーズケーキは私の大のお気に入りです。

お近くにお出掛けの際には是非お立ち寄りいただき、”もりのこ”達を手に取ってみてください。(Ku)

座卓の製作 -その2-

先週に引き続き、座卓製作のご報告です。

製材された板(座卓用)
製材された板(座卓用)表側

座卓用の材木の状態をさらに詳しく確認し、キズの少ない面を表側にすることにしました。

座卓用の材木の裏側
座卓用の材木の裏側

裏面には割れが長く伸び、部分的に表裏を貫通していました。また、割れの周辺には深い部分まで傷みが拡がっていました。

割れの周辺に拡がった傷み
割れの周辺に拡がった傷み

黒っぽく変色している部分は、朽ちたように脆くなっており、指で触ると簡単に崩れてしまう状態です。

このままでは今後長くご使用頂くうちに、ボロボロと崩れ落ちてしまうなどの支障が出てしまうので、痛んだ部分は削り落とす必要があります。

虫食いの穴
虫食いの穴

割れやキズの他、虫食いの跡の穴も多数みられました。

お客様に、板の状態をご報告するとともにいくつかのご希望をうかがい、次のように製作を進めることになりました。

・脚はこれまで板を載せていた角材を、脚として再び使用したい。
→ 座卓の天板部分を製作し、それを角材の上に載せる。
・天板の大きさ、形はできるだけ元のままで使用したい。
→ 寸法は変えず、シルエットを柔らかくするために側面にのみ緩いアールを付ける。
・使い勝手が良いように、表側はキズ等を埋めて平らにして欲しい。
→ 割れや傷みを漆等で埋めて平滑に仕上げる。
・裏側はキズは残って構わない。
→ キズや傷みが拡がったり崩れたりないように処理し、自然に仕上げる。
・高さはこれまでと同じに。
→ 板の裏側に、板の反りを防ぐとともに補強の役割りもある ”反り止め” を取り付け、それと井形に組んだ ”幕板” の高さで座卓の高さを調整する。
・仕上げは拭き漆仕上げで。
(仕上げについては、キズを漆で埋めることに加え、12,3年前に、肥松に漆を塗って作った小刀のサヤが、現在とてもよい色つやになっていることもあって拭き漆仕上げをおすすめしました。)

最大の問題は、板の中心を貫く大きな割れの処理でした。

持ち上げると割れに向かって板がたわみ、板を動かす度に、2つに割れてしまうのではないかとドキドキしました。

単に割れを埋めるだけでなく、埋めることによって板に強度もでるような処理が必要でした。また、貫通してしまっている箇所をどうやって埋めるか、などなど…。

出来上がった座卓の表面
仕上がった座卓の表面

2人で知恵をしぼり、試行錯誤の末にキズを埋め、ご希望に沿うような状態にすることができました。

出来上がった座卓の裏側
出来上がった座卓の裏側

裏側に取り付けた ”反り止め” と ”幕板” は、栗材です。

長手方向の ”幕板” が脚の角材に直接載ることになります。

納品した座卓
納品した座卓

板の下に見えているのが、脚の角材です。

工房ではかなり存在感のある座卓でしたが、納品した瞬間から、落ち着いた雰囲気でお部屋にしっかりと馴染みました。さすが、元々あった場所ですね。

大人2人で移動できる重さになったことに加え、仕上がりの状態もとても喜んでいただきました。ありがとうございました。

さて、この猛暑の中、木曜日から我が家の冷蔵庫の冷蔵室がほとんど冷えなくなってしまいました。

冷凍庫は正常に機能しているのですが、どうも冷蔵室に冷気が回っていないようです。取り急ぎ、保冷の必要なものだけクーラーボックスに避難させてしのいでいましたが、何もかもが生ぬるく、暑さをひときわ厳しく感じました。

今日、メーカーの人に応急修理をしていただき、なんとか復旧しました(水曜日に部品交換の予定です)。

たった2,3日の不便でしたが、冷蔵庫のありがたさを改めて感じました。(Ku)

大粒の雹が…

ここ数日、今日はいいお天気かな、と思っていても一天にわかにかき曇り、冷たい雨が降り出したかと思えば、また晴れ間が見えたり… と、なんだか落ち着かない空模様が続きました。

金曜日(20日)の9:30頃、急に ”バラバラバラッ” っと作業場の屋根を叩く大きな音が…。

何事かと思って外を見てみると、白いツブツブしたものが目の前が真っ白になるような勢いで降っていました。

霰と雹で、あたり一面真っ白に…
霰と雹で、あたり一面真っ白に…

雪と違って溶けにくいためか、一瞬のうちに辺り一面真っ白に。

大粒のものを手に取ってみると…。

こんな大粒の雹が降りました
こんな大粒の雹が降りました

直径が1cmほどもあってびっくりしました。

降っていたのは短い時間だったのでじきに溶けてしまいましたが、思わぬ雪景色にいっそう寒さを感じてストーブの前に駆け戻りました。

納品させて頂いた”棚”
納品させて頂いた”棚”

昨日は、展示会などのこちらの都合でずっとお待ち頂いていた収納棚を納品させていただきました。

固定式の棚板1枚と、可動式の棚板3枚というご希望をお聞きし、ご指定の寸法でオイル仕上げ、ということで製作させていただきました。

お客様が若いときに購入され、とても大切に使い込まれたこだわりの食器棚の隣に設置させていただきました。

この棚もきっと、大切に使われ、色つやが深まるとともにお部屋にしっかり溶け込んでいくことでしょう。(Ku)

やっと活動的になりました

先週末の雨のおかげもあってか、朝晩はちょっと肌寒いような日もあり、今週はぐっと過ごしやすくなりました。

私達もやっと活動的になりました。

まず火曜日、ちょっとずらした夏休みということで、ず~っと楽しみにしていた映画『スター・トレック イントゥダークネス』を観に三宮へ行ってきました。

映画館で映画を観るのは前作の「スター・トレック」から3年ぶりです。小学生の頃からのスタートレックファンである私にとっては見逃せない映画。大きなスクリーンと整った音響設備のなかで観る映画は格別です。約2時間の至福のひとときを過ごしました。”スタートレック”について書きだすと止まらなくなるのでやめておきます。次作はまた3年後?

金曜日は岡山へ。

まず、いつもお世話になっている玉野のギャラリー”サンコア”さんで開催されている夏の企画展「おいしい夏」をたのしみました。今年は”紙皿を使ったアート”ということで、様々な絵が描かれた紙皿や、紙皿を立体的に重ねたり曲げたりして製作された作品が所狭しと展示されており、とても楽しく、見応えがありました。

その後倉敷へ。こちらもいつもお世話になっているギャラリーさんなどにご挨拶に伺いました。「昨日くらいからみんな動き出したわ。」は、あるオーナーさんのお言葉。今年の暑さに参ってヘロヘロしていたのは私達だけではなかったようで、ちょっと安心しました。

雨の”倉敷民藝館”
雨の”倉敷民藝館”

最後に”倉敷民藝館”に寄って帰ってきました。雨にしっとりと濡れた民藝館も風情があってよいものです。

そして昨日は、ご注文いただいていた ”ローテーブル” を納品させていただきました。

ローテーブル
ローテーブル

展示会で ”ローテーブル” をご覧になったお客様が、もう少し幅を広くして書き物机としてご使用になりたいとのことで今回製作させていただきました。落ち着いた漆喰の壁に拭き漆の艶のある色合いが映え、とても喜んでいただけました。

”カナヘビ”の子供
”カナヘビ”の子供

工房の庭で水やりの最中、小さなものが動きました。

3~4cmほどの小さな”カナヘビ”の子供で、手に取っても慌てた様子もなく、じっとしていました。つぶらな瞳ですがなかなかの面構えで、この後口を大きく開けて威嚇されました。(Ku)

久しぶりに仕事のお話しを。

6月の展示会のご報告以降、野菜だ、ビワだ、アゲハチョウだ、などと、すっかり木工から離れた話題が続いていました (もちろん仕事はちゃんとしておりました) ので、今回はその間に納品させていただいた作品の中から2点をご紹介させていただきます。

まず、『コート掛』。

こちらは、今年の春先にご注文頂いていたものなのですが、無理をお願いして納品を遅らせ、6月の個展で展示させていただきました。

『コート掛』(サンシャインホールで展示)
『コート掛』(サンシャインホールで展示)

お客様からは、大まかな寸法と、分解できる、という条件のほかは、シンプルで力強いデザインであれば、あとの細かいことはお任せ下さるという、たいへんありがたいお話しをいただきました。

「分解できること」については、”クサビ” を用いて、柱2本と横木,幕板の4つの部材に分解できるようにしました。

幅のある幕板と、十分な厚みをとりどっしりとさせた脚部で安定感をもたせ、柱には緩やかな曲線で上下の太さにメリハリをつけるとともに、全体的に柔らかな面をとって、柔軟な力強さを表現できたと思っています。会場にも足を運んで下さったお客様もたいへん気に入ってくださいました。

もうひとつ、『額』を。

額

変型の色紙絵を購入されたお客様がご注文くださった額です。

着物姿の男の子が ”おくどさん” で火の番をしているというほのぼのした絵に合う額を、ということで、シンプルでやや幅の広い縁の拭き漆仕上げの額を作らせていただきました。

竈の絵なので、台所に飾られるそうです。

さて、淡路ではここしばらく、雨が降りそうで降らない、降っても雀の涙ほどで、工房の庭や畑に水を播こうかどうしようか、夕方ギリギリまで迷うようなお天気が続いていました。金曜日の午後も「雨だ!!」と喜んだのも束の間、濡れるのが気持ちよいくらいの一瞬で降り止んでしまいました。

しかたなく畑に水を播き始めると、水がかかったサツマイモの葉陰から何かがカボチャの葉に飛び移りました。

ちょっとコワイ ”カマキリ” の顔
かなりコワイ ”カマキリ” の顔

体長8cmほどのカマキリで、まだ翅が無く、成虫の一歩手前といったところでしょうか。

大きな眼の中の黒い点が瞳のようで、睨まれているみたいです。

カメラのレンズでクローズアップしてみると、ノコギリみたいな前肢のギザギザや、まるでニッパーにキバの生えたような鋭い口がはっきり見えて、かなりコワイです。

山の中で大きなカマキリに出会ってしまう…なんて想像はしたくありませんね。(Ku)