ワカメの旬も、春なのです!

先週の半ば、淡路では春一番が吹きました。

もうとっくに吹いていると思い込んでいたので意外でした。時ならぬ南からの強い風と大粒の雨に、工房ではポタポタと雨漏りが…。機械など濡れては困るものは大慌てでシートで覆ったので、幸い大事にはいたりませんでした。

茎ワカメは湯通しすると鮮やかな緑色になります
茎ワカメは湯通しすると鮮やかな緑色になります

四方を海に囲まれた淡路島で春を告げる食べ物と言えば、先日ブログでも紹介させて頂きました“イカナゴのクギ煮”が有名なのですが、実はワカメもそうなのです。

年中口にするワカメに旬などあるのかと思われる方も多いかと思うのですが、ワカメは2月から5月にかけて収穫され、干したり塩漬けにしたりして『保存食』という形で季節に関係なく市場に流通しているのです。

今の時期、近所のスーパーでは獲れたばかりの“新鮮?”なワカメをカゴに盛って売っています。なかでも“茎ワカメ”は値段も安く、調理も簡単で、なおかつ食物繊維やビタミンなどが豊富、おまけに美味しいと4拍子揃った私達のお気に入りの一品です。

茎ワカメの甘酢づけ
茎ワカメの甘酢づけ

買って来た茎ワカメをよく洗い、軽く塩ゆですると最初は黒っぽかった茎ワカメが鮮やかな緑色に変わります。それをひたすら厚めにスライスし、生姜と一緒に 甘酢に漬け込むとできあがりです。

甘酢のさっぱりした味と茎ワカメのコリコリとした食感は毎日食べても大丈夫。大量に作り置きして毎日冷蔵庫から食卓へ少 しずつ運ばれ、しっかりと私達の胃袋へ収まっていきます。

“オバQのくち”のような、“豆”のような…
“オバQのくち”のような、“豆”のような…

今回の新発見は、茎ワカメの断面です。

真ん中で二層に分かれていて、“オバQのくち”のような、はたまた、“豆”のような…ちょっと愛嬌のある美しい形をしています。『このかたち、何かに活かせないかな?』と、しばらく眺めていたのですが、とりあえず、頭の引き出しへしまい込んで置くことに。きっと忘却の彼方へ去って行ってしまうことでしょう…。

春分の日、今年も南あわじにある酒蔵『都美人』の蔵開きへ行ってきました。

昔ながらの“天秤”しぼり
昔ながらの“天秤”しぼり
“天秤”でしぼられた新酒、薄く濁っていてこくがあるのに後味スッキリ
“天秤”で搾られた新酒、薄く濁っていてこくがあるのに後味スッキリ

蔵の中の見学やきき酒大会、試飲やクイズなどで半日、楽しく過ごさせていただきました。

合鴨君、ありがとう!!
合鴨君、ありがとう!!

恒例の合鴨の焼き鳥と鴨汁も美味しく呼ばれました。

なぜ焼き鳥と鴨汁が恒例なのかと言いますと、お酒造りに欠かせないお米を近くの農家の方が合鴨を使って無農薬で育てているからなのです。合鴨さんは田んぼで大活躍した後、焼き鳥や鴨汁となって私達の胃袋まで満たしてくれるのです。本当に感謝、感謝です。

さて、いま工房では小引出など注文の品をつくりながら、春からの展示会で発表する椅子の試作を行っているところです。どうぞご期待下さい。(Hi)

今年も、いかなご!

瀬戸内の春の風物詩、「いかなご漁」が先週23日に始まりました。

寒い、寒いといっていても春はちゃんとやって来るものですね。

今年は例年にない不漁とのことで、自宅でクギ煮にするいかなごが手に入るかちょっと心配していました。

そこで先週半ばにスーパーに偵察に行ってみたところ、昨年よりちょっと値段が高いものの、購入することには問題はなさそうなことが分かりました。

いかなご新子
いかなご新子

そして昨日土曜日、スーパーの開店を待ってイカナゴのほか、クギ煮に必要なショウガやザラメなどの材料を購入し、クギ煮づくりをしました。

”イカナゴ”ってこんな魚です
”イカナゴ”ってこんな魚です

一般に 「いかなご」と呼ばれているのは「きびなご」という魚の子のことで、この時期の2週間ほどの期間にしか獲れません。鰯の子の「ちりめん」とは異なります(「ちりめん」はほぼ1年中獲れるそうです)。

1匹4cm前後の大きさで、スーパーでは1kg入りの大きなパックまたはビニール袋にぎっしりと詰まった状態で売られています。

今回、1kgで何匹くらいなのかを数えてみました。

10gで73匹だったので、1kgで約7,300匹ということになります。今年は4kg購入したので、全部で29,200匹。感謝しながら頂かないといけませんね。

クギ煮づくりは今年で4回目位になるので、レシピや手順もだいぶ固まり、順調に春の恒例行事を終えることができました。

ブロッコリーの初収穫
ブロッコリーの初収穫

工房の畑で育てていたブロッコリー、やっと1株めを収穫しました。冬の寒い時期にじっくり育ったためか、甘みが濃くとてもおいしかったです。(Ku)

淡路のうまいもの

海に囲まれた淡路島で ”うまいもの” といえば、なんといっても新鮮なおさかなです。

私が淡路島で初めて食べて好きになった魚に冬の ”フグ” と夏の ”ハモ” があります。

フグもハモも外食しようとすると「高級食材」であり、そうそう食べる機会に恵まれない魚ですが、どちらも淡路島が名産地であり、直接水産加工会社から「食材」として購入すると、そんなにびっくりするようなお値段ではなく、手に入れることができます。

先日、フグ鍋(てっちり)で、ちょっと遅めの新年会をしました。夫の高校時代の先生を中心としたメンバーで、冬はフグ、夏はハモを目的に、ときどき酒盛りを楽しんでいます。

てっちり用のフグ
てっちり用のフグ

まあるいお口がユーモラス。ダシがよくでるよう、骨付きの部分から鍋に入れていきます。

淡路島南端の福良ではトラフグの養殖が盛んで、通常2年で出荷するところを3年かけて育て上げ、「3年とらふぐ」として売り出しています。1年余分にじっくり育てることで、より大きくなるだけでなく、身も引き締まり、旨みも濃厚になるとのことです。

フグ鍋でいつも驚くのが、全く油分が浮かないことです。他の魚や肉では必ずアクや油が浮きますが、それが全くないのです。ヘルシーですね。

身はプリプリで歯ごたえもほどよく、あっさりしているのでついつい食べ過ぎてしまいます。最後の雑炊も、ダシの深い香りにつられて、もうお腹いっぱいなのに我慢できずに完食してしまい、「ああ、やめときゃよかった!」となるのも毎回のことです(食べ過ぎてしまってはちっともヘルシーではありませんが…)。

あ、フグの養殖は、ウナギと違い、基本的に卵から孵した稚魚を仕入れ、それを育てているようです。

淡路のトラフグ、機会があったら是非ご賞味ください。

こんがり焼けた「豆餅」
こんがり焼けた「豆餅」

「豆餅」も私の好物のひとつ。先日岡山に行った際に道の駅で購入してきたものを工房のストーブで焼いておやつにいただきました。

誰ですか!写真を撮る前に囓ったのは!!!(Ku)

干し芋に魅せられて

年が明け、底冷えのするような毎日が続いています。

私達の作業場は淡路島を南北に分断する丘陵の上にあり、冬になると西風がまともに吹き付け、気温以上に寒さを感じるのですが、今年の冬は例年に比べて西風の勢いが弱いように感じています。その分だけ肌身に感じる寒さは少しはましなように思うのですが、それでもやはり寒さは身にしみます。

作業場の庭はまだまだ休眠状態なのですが、水仙の芽だけは元気にスクスクと育っています。そういえば、今日(1/13)の朝日新聞の朝刊に、淡路島南部の灘黒岩水仙郷の記事が写真入りで掲載されていました。『約500万本の水仙が咲き始め、見頃を迎えている』とのことです。

水仙郷から紀伊水道をのぞむ
水仙郷から紀伊水道をのぞむ

私達も4年ほど前に一度訪れたことがあるのですが、紀伊水道を望む南側の斜面一帯に、青い空と青い海に包まれて咲き誇る水仙の花はとても美しく、今でも心に焼き付いています。

水仙を下から見上げると…
水仙を下から見上げると…

もし近くに来られるご予定のある方は、是非、訪ねてみて下さい。

昨年末の弘法市で『干し芋』を買って来て作業場の薪ストーブで焼いて食べたらえらく美味しかった、という話を以前にご紹介いたしましたが、そのあまりのおいしさにすっかり虜になってしまった私達は、ならばいっそのこと自分たちで干し芋を作ってみよう、ということになりました。

ただただサツマイモを蒸して、切って、干せばいいのだろう、と想像しつつも、とりあえずインターネットで調べてみると、基本的にはそれでOKなのですが、干し芋に適した品種があることと、なるべくゆっくりふかした方が良い、ということがわかりました。

サツマイモの品種について、干し芋には“玉豊(たまゆたか)”や“玉乙女”という品種が適しているとのこと。どちらも私達には耳なじみのない品種なのですが、ふかしたときに“ベットリ”とした食感がでて、干し芋になってからでもほどよい柔らかさが保たれるのだそうです。

ところが、近所のスーパーに並んでいるのはどれも“鳴門金時”ばかり。

“鳴門金時”は“ホクホク”とした食感が特徴で、普通に食べるには美味しいのですが、干し芋にすると固く仕上がってしまうので、あまり適していないとのこと。それでも、まあとりあえずやってみようということになり、“鳴門金時”で早速取りかかりました。

いも、蒸してます
いも、蒸してます

まず、セイロはないので、厚手の鍋に金ざるを敷き、サツマイモを蒸し上げます。

なるべくゆっくり蒸した方が良いということなので、ふかし芋の香りに包まれながら1時間半ほど、じっくりと蒸し上げました。

いも、干してます
いも、干してます

蒸し上がったサツマイモの皮をむき、薄くスライスして天日に干すこと1週間。説明にあったとおり、確かにカチカチの、丁度干からびたチーズのような干し芋が出来上がりました。

干し芋のできあがり
干し芋のできあがり

ストーブの上にのせ、ほどよく焦げ目が付いたところをみはからって食べてみたのですが、やはり、弘法市で買ってきたものよりも堅めで甘さも少し物足りないような感じです。

家内は思ったよりも上手く出来たと上機嫌なのですが、私は、弘法市のものを口にしたときの、あの感動を期待していたので、少しがっかりしてしまいました。それでも、新しい冬の愉しみを発見できただけで、“よし”とすることにしましょう。

次は、芋の種類を変えて再挑戦です。(Hi)

今年もお世話になりました。

ついこの間まで 「暑い!暑い!!」 と言っていたような気がするのですが、秋が来てあっという間にクリスマスソングが流れ出し、いつの間にか今日は大晦日。

新しい年を迎える時には、また1年、滞りなく製作活動を続けられるだろうかと不安になり、 「がんばらなきゃ!」 と自分を奮い立たせるのですが、1年が終わる今頃には、展示会などでバタバタしたことはあったものの、なんとか無事に過ごせたことをなんだか夢の中の出来事だったように思うのです。

とはいうものの、年末はやることが目白押し。

先週の後半は年賀状づくりでした。

年賀状、製作中。
年賀状、製作中。

数年前から版画で年賀状を作るようになりました。2人でなんやかやと図案を考えて今年は初めての2色刷。ただし、図案はいたってシンプルです。

ストーブで干し芋をあぶって…
ストーブで干し芋をあぶって…

年賀状づくりのおやつは、先日弘法市で買ってきた ”干し芋” 。薪ストーブであぶって頂きます。

ちょっと濃いめの焦げ目が付く位の香ばしさが好きです。部屋中に ”おいも” のよい香りが漂います。

28日を仕事納めとし、29日は家の大(小?)掃除。昨日30日はお餅つきと、お正月の間に食べる料理の準備をしました。

お正月の準備
お正月の準備

たたきゴボウ,大根のゆずこしょうあえ,肉巻きゴボウ,親芋の煮物,カズノコ少々,れんこんのきんぴら,そしてカレーライスが我が家の定番のお正月料理。

今年はこれ以外にハヤトウリのポタージュ(写真右奥)も。

2人で手分けして無事終了。積み重なったタッパーを前に冬ごもりの前のリスのような幸せな気分の大晦日です。お菓子もたっぷり買い込みました。

これから年越しそばなどの買い物に出掛ければ準備完了です。お正月はゆっくり過ごし、新たな1年への鋭気を養いたいと思います。

今年もたくさんの出会いに恵まれ、多くの方々にお世話になりました。ほんとうにありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

それではみなさま、よいお年を。(Ku)

未来を信じて…

昨日、工房の周りの庭の植え込みの中に水仙の新芽を見つけました。

落ち葉の積もる庭の土を押しのけるように、“ツンツン”と頭をもたげたその姿は、冬の寒さに健気に立ち向かっていこうとする“力”そのもののようで、“頑張っていこうよ!”と励まされているような気になりました。

今日は総選挙。

これから多難な時代を生き抜いて行かなければならない私達の、大きな大きな“船”の舵取りを任せる人達を選ばなければならない大切な選挙です。

いろいろと争点が多くなりすぎて、何を優先すればよいのか、正直、迷いの尽きないところです。私達夫婦の間でも、折に触れて、様々な問題について議論の絶えない2週間でした。

ただ、耳あたりの良い言葉や勇ましいかけ声、具体性に乏しいキャッチコピーなどには惑わされずに、どのような社会になって欲しいのかをじっくりと考えて、貴重な一票を投じたいものだと考えています。

それにしても、ここに来てにわかに新しい政党が乱立し、いいようもない違和感を感じています。

このブログのタイトルを“未来を信じて…”といたしましたが、決して“日本未来の党”を信じて…、という意味ではありません。言葉のまま、素直に私達の目の前に拡がっている“未来”を信じたいという思い以外の何ものでもございませんので、くれぐれも誤解されませぬように。

先週は、民藝館展の講評のために東京へ行ってきました。

深夜バスを用いた2泊1日?の強行軍だったので、体力的には少々きつかったのですが、審査委員の方々の講評はどれも、真摯にものづくりに取り組んでいる人達の背中を力強く支えて下さる姿勢が一貫していて、とても励みになりました。

私の今回の出品作は“朝鮮棚”とよばれる李朝のものを参考にした飾り棚とスツール2種の計3作だったのですが、いずれも準入選でした。入選作品並びに準入選作品は東京駒場の日本民藝館にて12月23日まで公開されていますので、お近くの方、ご興味のおありの方は是非足を運んでみて下さい。

あまり時間の取れない東京行だったのですが、開業当初の姿が復元されたという東京駅舎を見学してきました。

東京駅舎
東京駅舎

東京駅舎は1914年に開業したのですが、1945年の東京大空襲によりその大部分が焼け落ちてしまい、いろいろと復旧工事をくり返して近年の姿になったそうです。このたび改めて、鉄筋レンガ造り3階建てへの大規模な復元工事が完了し、開業当初の姿が復元されたということです。

東京駅舎-夜景-
東京駅舎-夜景-

第一印象は、“気品の高さと優雅さ”でしょうか。日本の歴史的建造物、というとやはり木造建築の“質実剛健”という印象が強いのですが、レンガ造りの洋館建築を通して、西洋の技術や思想へ向かう登り坂を勢いよくのぼっていく当時の日本の姿を感じました。

ただ、駅舎の周囲には近代的で無表情なビルが立ち並び、その中に埋没してしまっているという感じで、さらには信号機や道路標識、ガードレール等が雑多に配置されていて、やむを得ないことなのは承知しているのですが、すこし残念な気がしました。

ホクホクの焼き芋です
ホクホクの焼き芋です

工房ではいま、秋の展示会でご注文頂きました椅子などの漆塗りの作業を進めながら、テーブルの製作に入ったところです。薪ストーブも大活躍で、こんな美味しそうな(実際に美味しかったのですが!!)焼き芋もおやつに楽しんでいます。(Hi)