薪ストーブと思い出

節分も過ぎ、立春を迎えたというのに寒さは一向に緩まる気配がありません。

淡路島は瀬戸内に位置しているので“暖かい”というイメージがあるのですが、冬場は西からの風がとにかく強くて、気温以上に厳しい寒さを感じます。さらに、作業場は小高い丘陵の尾根づたいにあるため、朝などは毎日氷点下の冷え込みとなります。

そこで、作業場での朝の仕事はまず薪ストーブに火を入れることから始まります。

一年間貯めておいた“かんなくず”や新聞紙などでまず火をおこし、次に小さな“木っ端”で火を大きくしていきます。火がある程度の大きさになったところで、ようやく薪の投入です。しばらくすると火の勢いが強くなり、そのうちに『ゴーゴー』と音を立てながら暖まってきます。寒いのを少し我慢すれば、私のとても大好きな作業の一つです。

作業場の薪ストーブ
作業場の薪ストーブ

まだ幼かった頃、我が家のお風呂は薪で沸かしていました。天日でお湯が沸く“ソーラーパネル”が屋根の上にあったので、夏場はお湯を沸かす必要がほとんどなく、小さな土間にしゃがみ込んで薪をくべながらユラユラと揺れる炎を見つめつつ、ほっぺを火照らせ、あれやこれやと妄想にふけっていた光景は、もっぱら寒い冬の夕暮れ時の思い出です。

祖父の死をきっかけに、“死”というものを身近に感じ始めたのも丁度その頃で、死んだらあの炎に焼かれて無くなってしまうのかと思うと、『熱いのはイヤだなあ~』とか『もし焼き場の中で生き返ったらどうなるのかな』などなど…。

で、あれやこれやと考えた末、炎の恐怖から逃れるために、今度生まれ変わるとしたら『水』がいいなぁという結論になりました。『水』だと炎に焼かれる心配も無いし、何せ、気体、液体、固体と姿は変われども『水』は『水』ですから…。今思うとなんとも変な妄想にとりつかれていたものです。

オーロラをおもわせる炎の揺らめき
オーロラをおもわせる炎の揺らめき

薪ストーブのオーロラにも似た炎の美しい揺らめきに見とれながら、そんな昔のことを何となく思い出している今日この頃であります。(Hi)