大きな棚の納品

今週はもう1件、7月に納品しました大きな棚の紹介をさせていただきたいと思います。

以前、飾り棚を作らせていただいた倉敷のお客様から、収納棚のご相談をいただきました。

以前お納めした”飾り棚”
以前お納めした”飾り棚”

この飾り棚が置かれている和室縁側の奥(写真右上方)に、ご主人が収集されている民芸品を整理して納める大きな棚をご希望とのこと。

ご相談の結果、以前の棚と雰囲気を合わせたデザイン、材料も同じ樹種の組み合わせ(柱:くり,棚板:なら)で、巾は縁側いっぱい、高さは欄間の上の長押に合わせた、巾1,000mm×奥行750mm×高さ1,870mm の大きな棚を作らせていただくことになりました。

大きな収納棚
大きな収納棚

私達の身長よりも高い大きな棚でしたので、工房での組立時や、納品の際の取り回しにはかなり気を使いましたが、それだけに予定の場所に無事ぴったりと収まった時にはホッとしました。

お客様にも喜んでいただけましたので、きっと今頃は大切な民芸品でいっぱいになっているのではないかと思います。

さて、今年3月に展示会をさせて頂いたご縁で、南あわじ市の手作り雑貨・生活雑貨のお店 『そらみどう 』 さんで、私の製作しているコモノを販売していただくことになりました。

7月より、もりのこマグネット,ストラップ,なべしき,モビールなどを店頭に置いて頂いております(詳細は 『そらみどう』 さんの7月31日のブログ(外部リンク)をご参照ください)。

他にも、焼き物やアクセサリー、革のものや布小物などの様々な手作り品や、オーナーさんこだわりの文具など、楽しいものがお店いっぱいにあふれています。

喫茶コーナーもあり、おいしいコーヒーとオーナーさん手作りの濃厚なチーズケーキは私の大のお気に入りです。

お近くにお出掛けの際には是非お立ち寄りいただき、”もりのこ”達を手に取ってみてください。(Ku)

大粒の雹が…

ここ数日、今日はいいお天気かな、と思っていても一天にわかにかき曇り、冷たい雨が降り出したかと思えば、また晴れ間が見えたり… と、なんだか落ち着かない空模様が続きました。

金曜日(20日)の9:30頃、急に ”バラバラバラッ” っと作業場の屋根を叩く大きな音が…。

何事かと思って外を見てみると、白いツブツブしたものが目の前が真っ白になるような勢いで降っていました。

霰と雹で、あたり一面真っ白に…
霰と雹で、あたり一面真っ白に…

雪と違って溶けにくいためか、一瞬のうちに辺り一面真っ白に。

大粒のものを手に取ってみると…。

こんな大粒の雹が降りました
こんな大粒の雹が降りました

直径が1cmほどもあってびっくりしました。

降っていたのは短い時間だったのでじきに溶けてしまいましたが、思わぬ雪景色にいっそう寒さを感じてストーブの前に駆け戻りました。

納品させて頂いた”棚”
納品させて頂いた”棚”

昨日は、展示会などのこちらの都合でずっとお待ち頂いていた収納棚を納品させていただきました。

固定式の棚板1枚と、可動式の棚板3枚というご希望をお聞きし、ご指定の寸法でオイル仕上げ、ということで製作させていただきました。

お客様が若いときに購入され、とても大切に使い込まれたこだわりの食器棚の隣に設置させていただきました。

この棚もきっと、大切に使われ、色つやが深まるとともにお部屋にしっかり溶け込んでいくことでしょう。(Ku)

久しぶりに仕事のお話しを。

6月の展示会のご報告以降、野菜だ、ビワだ、アゲハチョウだ、などと、すっかり木工から離れた話題が続いていました (もちろん仕事はちゃんとしておりました) ので、今回はその間に納品させていただいた作品の中から2点をご紹介させていただきます。

まず、『コート掛』。

こちらは、今年の春先にご注文頂いていたものなのですが、無理をお願いして納品を遅らせ、6月の個展で展示させていただきました。

『コート掛』(サンシャインホールで展示)
『コート掛』(サンシャインホールで展示)

お客様からは、大まかな寸法と、分解できる、という条件のほかは、シンプルで力強いデザインであれば、あとの細かいことはお任せ下さるという、たいへんありがたいお話しをいただきました。

「分解できること」については、”クサビ” を用いて、柱2本と横木,幕板の4つの部材に分解できるようにしました。

幅のある幕板と、十分な厚みをとりどっしりとさせた脚部で安定感をもたせ、柱には緩やかな曲線で上下の太さにメリハリをつけるとともに、全体的に柔らかな面をとって、柔軟な力強さを表現できたと思っています。会場にも足を運んで下さったお客様もたいへん気に入ってくださいました。

もうひとつ、『額』を。

額

変型の色紙絵を購入されたお客様がご注文くださった額です。

着物姿の男の子が ”おくどさん” で火の番をしているというほのぼのした絵に合う額を、ということで、シンプルでやや幅の広い縁の拭き漆仕上げの額を作らせていただきました。

竈の絵なので、台所に飾られるそうです。

さて、淡路ではここしばらく、雨が降りそうで降らない、降っても雀の涙ほどで、工房の庭や畑に水を播こうかどうしようか、夕方ギリギリまで迷うようなお天気が続いていました。金曜日の午後も「雨だ!!」と喜んだのも束の間、濡れるのが気持ちよいくらいの一瞬で降り止んでしまいました。

しかたなく畑に水を播き始めると、水がかかったサツマイモの葉陰から何かがカボチャの葉に飛び移りました。

ちょっとコワイ ”カマキリ” の顔
かなりコワイ ”カマキリ” の顔

体長8cmほどのカマキリで、まだ翅が無く、成虫の一歩手前といったところでしょうか。

大きな眼の中の黒い点が瞳のようで、睨まれているみたいです。

カメラのレンズでクローズアップしてみると、ノコギリみたいな前肢のギザギザや、まるでニッパーにキバの生えたような鋭い口がはっきり見えて、かなりコワイです。

山の中で大きなカマキリに出会ってしまう…なんて想像はしたくありませんね。(Ku)

オーディオ棚の納品とコアラ

本日、南あわじのお客様からご注文いただいておりましたオーディオ用の収納棚を納品してきました。

オーディオ棚
オーディオ棚

春の淡路での展示会においで頂いたお客様なのですが、9月に工房へお越し下さり、オーディオ用の棚のご相談をいただきました。

その際にお聞きした
①本体を納める上部は使いやすさを優先させて扉,裏板なしの棚とする
②下部は雑誌などの雑多な物を収納したいので扉を付ける
③横に置くスピーカーとバランスの良いサイズとする
などのご希望をもとに3パターンほどの図面を作成し、10月半ばにご自宅にうかがってお部屋の雰囲気を確認するとともに、デザインの決定をさせていただきました。

また、スピーカーを直に床に置きたくないとのことで、「ヰ型」の簡単な台もつくって納めさせていただきました。

「ヰ型」のスピーカー台
「ヰ型」のスピーカー台

リフォームされたばかりの、木をたくさん使ったお部屋にとてもよく合い、とても喜んでいただけてほっとしました。

そして、”イングランドの丘” へ。

お客様のお宅から帰る途中にある農業公園 ”イングランドの丘” 。今日は 淡路島民は入場料が無料となる ”島民デー” だったこともあって初めて行ってみました。

ここは、”イングランド” なのになぜかコアラがいるので有名です。2人とも本物のコアラを見たことがなかったので、まずは「コアラ館」へ。

木の上でじっとしているコアラ
木の上でじっとしているコアラ

ちょうどコアラの昼食どきだったようで、エサのユーカリを黙々と食べているコアラが多かったのですが、木の上でじっと動かないコアラもいました。

上の写真のコアラはまるで木の枝に挟まってしまったぬいぐるみのようで、なんだか面白かったです。

コアラのほかにも馬やロバ、羊、プレーリードッグ、ペリカンなどのいろいろな動物がいてちょっとした動物園気分でした。大きなリクガメもいるようですが、もう冬のお休みに入ったとのことでちょっと残念でした。

思っていたよりも広くて楽しいものがいっぱいで、子供連れの知り合いが遊びにきたら案内するといいな、と思いました。ただし、そこかしこからおいしそうなニオイも漂って来るので、誘惑に負けないようにしないと…。(Ku)

和箪笥のリフォーム

9月末のたんばクラフトから10月末の倉敷での個展まで、” 準備 → 搬入 → 在廊 → 搬出” の繰り返しに追われた約1ヶ月の秋の展示会シーズンが終わり、ちょっと一息つきました。現在、展示会のためにお待ち頂いていた収納棚の製作に取りかかったところです。

今回は、展示会のご案内やご報告などで遅くなってしまいましたが、9月にお納めした和箪笥のリフォームのご報告をさせていただきます。

春のサンシャインホール(淡路市)での展示会をご覧いただいたはしもと住宅工房さま(淡路市志筑)から、和箪笥のリフォームのご相談を頂きました。

80年ほど前のものと思われる古い和箪笥をお持ちとのこと。現在は使用していないが、まだまだしっかりしていて使えそうなので、少し形を変えて、今年6月に完成したモデルハウスを兼ねた事務所でご使用になりたいというお話しでした。

リフォーム前の和箪笥
リフォーム前の和箪笥

早速現物を見せて頂くと、上中下と3分割できるタイプで、前面は縞黒檀張りの立派な和箪笥です。造りがしっかりしているうえにていねいに使われてきたようで、確かにまだまだ使えそうです。

リフォームのご希望は次のような内容でした。

上置き・・・玄関の飾り台として使いたい。ただし、現状のままだと奥行きがあり過ぎるので、奥行きを詰め、裏板を新たに作り直す。また玄関にふさわしいきれいな天板(杉板を着色塗装)をのせ、台輪も付ける。

下置き(2段分)・・・2階の部屋で収納に使いたい。奥行きはそのままでよいが、窓の前に置くので窓にかからないよう台輪の高さを調整する。また、天板(杉板を着色塗装)をのせる。

そのほか天板の色具合などの細かい点をご相談したうえで実際の作業に取りかかりました。

上置き、着手前-1
上置き、着手前-1

まずは、薄めた中性洗剤等を使ってクリーニングです。ほこりや汚れを取り除くだけでもかなりすっきりした感じになります。

写真には写っていませんが、上の引き戸を開けると棚と小さな引出しがあります。それも含めて後ろ側を切断し、奥行きを短くします。

下の引出しを引くと、” ファァ~ ” と優しいハーモニカの音がします。本来は引出しが開けられたことを知らせる防犯目的のようですが、” 防犯 ” とは思えないのんびりした優しい音色に笑顔が誘われます。残念ながら、今回は奥行きを詰めることで仕込んであったハーモニカが取り除かれてしまうので、リフォーム後はこの音色は出なくなってしまいます。

上置き、着手前-2
上置き、着手前-2

元が大きな箪笥で通常は上部が見えないので、天板は縁をまわしてあるだけです。この縁の内側にきれいな天板をのせることになります。

上置き、背面
上置き、背面

上置きの後ろ部分を切断して引出しを調整後、着色前の天板をのせたところです。奥行きを詰めたので、引出しも短くなります。これに裏板を付けて塗装をして仕上げます。

完成した上置き-1
リフォーム後の上置き-1

完成後の飾り台です。天板はご希望の色具合と他の部材とのバランスから杉板に漆を塗りました。棹通しの金具は側板の中央になるよう位置を調整しました。

完成した上置き-2
リフォーム後の上置き-2

新しい建物に古い家具はとてもよく合い、落ち着いた雰囲気を醸しだします。

リフォーム後の下置き部分
リフォーム後の下置き部分

こちらは下置きだった部分(2段分)です。玄関の飾り台にした上置きと同様に、漆を塗った杉の天板をのせ、窓の高さに合うよう台輪を切断して高さを調整しました。台輪の切断した残りの部分は玄関の飾り台の台輪に活用しました。

昔の木の家具はしっかりとした材料を使ってていねいに作られているので、修理やリフォームができるものがほとんどです。今回のように箪笥を分けて使ったり、本来の用途と違う利用の仕方を工夫するのも楽しいと思います。

私達の家具もいつかそんな風に修理やリフォームをされながら長く使って頂ければと願いながら、納得のいく材料でていねいに作ることを心掛けています。そんなことからも、昔の家具を使い続けるお手伝いができればと考えています。

本当はまだ使いたいけれど、古いからとか壊れているからなどとあきらめずに、まずはお気軽にご相談ください。状態によってはお力になれない場合もあると思いますが、出来る限りの知恵をしぼってがんばってみたいと思っています。(Ku)

春を告げる花

寒い日が続いています。

工房内では薪ストーブが燃えさかり、庭のメダカの火鉢はこのとおりカチンコチンです(氷の下でメダカはじ~っと春を待っています)。

氷の張ったメダカの火鉢
氷の張ったメダカの火鉢

あまりの寒さに私たちもあまり庭に出ない日が続いていましたが、火鉢の向こう側の水仙の陰で、今年もスノードロップが元気につぼみを膨らませているのに昨日気が付きました。

つぼみをつけた"スノードロップ"
つぼみをつけた”スノードロップ”

夏の間は地上部が全く無くなってしまうため、ついそこに植えてあるのを忘れてしまうのですが、冬の終わりが近づくとしっかり芽を出してきれいな花を咲かせてくれます。

”春を告げる花”だとか。

これから少しずついろいろな春の足音が聞こえてくるのでしょう。

2基目が完成した風車
2基目が完成した風車

さて、工房の近くで始まった風車の建設は、先日2基目が出来上がり、3基目の工事が始まりました。クレーンが立っているのが3基目の場所です。

夕焼けの中に立つ風車
夕焼けの中に立つ風車

昨日の夕方、きれいな夕焼けに風車のシルエットが浮かび上がっていました。

とても大きいのに、細く長い羽根とそれを支える一本の柱だけという非常にシンプルなデザインの風車は建造物としてはとてもきれいです。風景の邪魔になることもなく、これで音や影などの影響が無ければ言うことないのですが…(まだ稼働されていないので、風が吹いても羽根は回っていません)。

『民藝』2月号
『民藝』2月号

12月11日のブログで「平成23年度民藝館展」での入選をご報告させて頂いた”拭漆戸棚”を、日本民藝協会の機関誌である『民藝』2月号で紹介していただきました。

掲載された”戸棚”
掲載された”戸棚”

”シンプルに、ていねいに”を心掛けている私たちにとって、「さっぱりとしていて良い。」という内容の、とても嬉しい講評もいただきました。これを励みに今後もしっかりと仕事に取り組んでいきたいと思います。

一般の書店では扱われておりませんが、各地の民藝館,工藝館、民芸店などでお手に取っていただけますので、機会がありましたら是非ご覧になってください。(Ku)